我々がウブドに到着した日は金曜日でした。
ウブドでは毎日19時くらいから様々な場所でバリダンスやケチャックダンスなどの伝統舞踊の定期公演が行われます。ウブドには多くの舞踊団があり、曜日ごとにどこでどの団体が公演をするかというのがおおよそ決まっています。
この日観に行ったのは「Sadha Budaya(サダ・ブダヤ)」という団体の公演でした。サダブダヤはウブドのバリダンス界の重鎮といった位置づけで、海外公演も積極的に行っており世界的に評価の高い、実力者揃いの団体ということでした。
公演の場所は「ウブド王宮」。我々がベモを降りる寸前に渋滞に巻き込まれたウブドのメイン通り「モンキーフォレスト通り」の突き当りにありました。見つけやすい!
ウブド王宮。
チケットは王宮付近をうろついているダフ屋のような(正規の)売り子から買います。ダフ屋感で一杯でしたが特にぼったくりもなく、早くチケットを捌いてしまいたい気持ちが前面に表れていて却って爽快でした。王宮では座席指定がないので早く買ってもギリギリで買っても違いはありません。その分、いい場所で観るには早く入場すべしです。
チケット代はひとり8万ルピアなので二人で16万ルピア(1,400円くらい)。大御所舞踊団の約一時間半の公演を二人で観て16万ルピアですから、初日のタクシー20万(所要約10分)が如何にぼったくりであったか、想像がつきますね。・・・我々が如何にこのことを引きずってるかも、想像がつきますね。
モンキーフォレスト通りはウブドのメイン通りのひとつなんですが、道路は狭くクラクションは24時間営業、逆走も当たり前、歩道はデコボコで水はけも悪い、ゴミはその辺に捨て放題、けど急に高級レストランやブランドショップ、オーガニックコスメの店が現れる、そんな所です。欧米化はチェンマイ以上に進んでいますが、インフラの整備が全然追いついていないことと、店の屋根を時折猿が移動しているということは、やっぱりなという感じでした。
19時の開場まで時間があったので、安めのご飯を求めに彷徨ってみました。見つけたのはモンキーフォレスト通りの2本隣の道の途中にあったBIAH-BIAHという店。完全に旅行者向けのレストランで日本人も多く訪れているみたいです。
たしかナシ・チャンプル。ごはん・まぜまぜという意味です。
テンペ(左)とラワール(右)。テンペは大豆の発酵料理で、納豆を固めたような食感なので日本人は意外と手を出しやすいと思われます。ラワールは和え物サラダです。
比較的安めのレストランではありましたが、ウブドにはピンからキリまであるので、まだまだ開拓の余地ありです。
さて19時になったので王宮に入ります。開演は30分後です。
開場時間ちょうどに入ったにもかかわらず既に混雑していました。開場時間とはなんだったのか?いい場所を確保するにはそんなの無視してもっと早く入ることをお勧めします。ちなみに開演一時間前に入った時は流石にいい場所を取れました。
開演直前までには更に混んできて、結局足の踏み場もないほどになりました。
舞台を清めて(多分)さあ、始まります!
ライトアップされ登場したのは横の楽器を演奏する方々。ガムランといわれるインドネシア伝統の音楽を奏でます。ちなみにプルナマハウスにはサダブダヤのガムラン奏者の一人がいて「今日俺も出るからね~」と言っていました。写真撮り損ねちゃったんですけどたしかに居ました。
けっこう緊張感不足に雑談しながら入ってきましたが、いざ始まると金管楽器の甲高い音と銅鑼の重低音、笛の妖しい音が複雑にハイテンションに入り混じる音楽を聞いているうちに内臓が揺さぶられ内耳が揺さぶられ、脳が痺れるにしたがって別世界に引き込まれる気がしました。
そこで踊り手が登場します。
でた~!
派手な衣装と派手な顔に最初は戸惑ってしまいましたが、指先の繊細な動きと一朝一夕には身につかない眼球の操作、独特の足の運び、アニメーションダンスのようでいてシャーマニズムのようでもあるモーション、それらがガムランの奏でる世界観の上でヒンドゥーの神話世界を表していました。
バリ舞踊、かっこいい!
続いて登場したのはバロンという聖獣。一見して恐ろしい顔で我々に噛みついてきそうですが守り神だそうです。中に二人入っていて前の人がバロンの表情と前脚、後ろが後脚と尻尾の動きを担当しています。
かつて僕もマッスルミュージカルで中国式獅子舞の前脚をやっていたので難しさは分かっていたつもりでしたが、このバロンはアクロバットはないけれど求められる繊細さが非常に高レベルで、中国獅子舞とは似て非なるものでした。
これはトペンという仮面を着けた踊り。アニメーションダンス的な動きが沢山見られて面白い演目でした。仮面の中ではゼーゼーいってました。そりゃ息苦しくもなるわな。暑いし。
僕は自分の記憶の中でテンペ(納豆)とごっちゃになってました。
こちらもトペン。
これは小芝居の様子。まったく言葉が解りません(笑)あの魔物を退治しなくては、的な内容だと思います(憶測)。
あの魔物。見るからにおぞましい魔物です・・・バロンに似てるけど。
善なるバロンと悪なる魔物の対立。ほらぁ並んじゃった。似てるよ~。
魔物討伐隊が現れ、魔物と格闘します。しかし刃を向けた人間は逆に呪われて身体を操られ自分自身に刃を突き立て、死んでしまうのでした。
という前情報がなかったのでこれを見て「何やってんだこの人たちは?」となりました。
しかしその後バロンの力によって彼らは息を吹き返すことになります。めでたし!
バリ舞踊は元々神にささげる踊りだったということで派手に行われるものですが、決して雑然としたものでなく踊り手の不断の努力と演奏者との調和が必要なものでした。そしてどの演者も自分自身の役割を楽しんでやっている印象を受けました。
さすがレベルが高いことで有名なサダブダヤ!これは見応えありました!
帰りはすっかり暗くなってしまいましたが、プルナマハウスは王宮から徒歩10分くらいの距離にあり、その間暗い道が殆どないので大分安心して帰ることが出来ました。QOLの高い日だったぜ!
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この時滞在していた宿はコチラ⇒Purnama House
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