アンバランゴダには仮面美術館とできればウミガメの産卵も見れたら見たいと思っていた。
アンバランゴダの海沿いには、ウミガメの絵が沢山書いてあった。
だが、ウミガメの産卵は私たちが滞在していた11月は時期ではないようだ。
ということで、アンバランゴダでは仮面美術館を観るだけでいいかということになって、一泊で違う町に行くことにした。
ホームステイのような宿をチェックアウトしてバス停に向かった。と、一人の現地の人が日本語で話しかけてきた。
いつもなら、また何かの勧誘だろうと挨拶程度で去るのだが、この時はふと足を止めてしまった。
というのはそのおじさんの日本語がびっくりするほど流暢だったからだ。
昔日本で働いていたというスリランカの人は結構多くて話しかけられたりすることも多いのだが、そんな人でもあまりうまくない日本語を話す人の方が多い。
だがここで会ったおじさんは本当に滑らかな日本語を話した。スリランカに来て初めて泊まったニゴンボの宿の10年日本で働いたことがあるオーナーよりもうまかった。
なんでそんなに日本語上手なの?と聞くとやっぱりこのおじさんも日本で7年働いたことがあるとのことだった。
おじさんの名前はセリルさん。
世間話の中でウミガメの産卵はやっぱり今の時期見られないのかな?と話すと、知り合いの漁師の人に電話して聞いてくれたが、今の時期は波が高くて海亀が来ないらしい。
セリルさんは私たちになにかしてあげたい様子で、今日うちに泊まって行ったら?と誘ってくれた。
今まで話していても怪しい人には思えないが、私たちは今日の新しい町の宿を予約してしまっていたし、偶然道であった人のお家にほいほい行っていいものかと悩んだ。
セリルさんに今日の宿を予約してしまっている旨を話すと、じゃあお茶だけでも飲んでいったら?と誘ってくれた。
この人は悪い人ではないという気がしたので、セリルさんの自宅にお邪魔することにした。
セリルさんはすぐ近くに車を停めていて、車はトヨタのプリウスだった。
結構お金もちかもしれない。
自宅は車で10分くらいのところだという。
お墓の横を通り過ぎた時、スリランカでは火葬と土葬があるのだが、費用が安いので火葬にする人が今は多くなっていることを話してくれた。
セリルさんが日本人の友達で自殺してしまった人がいたようで、日本人は自殺する人が多いらしいねと悲しそうに言っていた。
セリルさんの家は町の高台にあり、大きい家だった。
昨日泊まったホームステイのような宿も、一般家庭としては悪くない方だと思うが、セリルさんの自宅はその5倍くらいの広さがあり、家の前にある庭にはマンゴーの木や、ジャックフルーツの木、バナナの木なんかもあり、果物は買う必要がないよと言っていた。
間違いなくセリルさんはお金もちだと思う。
セリルさんの奥さんが甘い紅茶を持ってきてくれた。
小柄で可愛らしい人だった。
私が舞踏というものをやっているのだと言ったら、見たいと言うので、セリルさんの庭で舞踏を披露してみたりもした。
庭の前のテラスでパシャリ。
近所の猫が毎日遊びにくるらしい。
いろんな話をした。
セリルさんは7年間日本で働いた後、スリランカに帰って印刷関係の仕事についたが給料が悪く、日本人経営のジュエリーの仕事に変えたらしい。
お土産にとネックレスチェーンをくれた。
その後はジュエリーの仕事を辞めて日本人専用のガイドとして働いたらしい。スリランカでは55歳が定年らしいが58歳まで働いたとのことだった。
ちゃんとした会社の日本人ガイドだったようで、日本人もお金もちの人が使うような観光会社だったから、かなり儲かったよ~と言っていた。
ある時、どこかの会社の社長さんのガイドをした時は、毎日その社長さんがご飯もごちそうしてくれて、その社長さん、チップも10万もくれたんだよ、と言っていた。
チップで10万・・・。流石社長。
しかもね、社長さんが奥さんに250万のジュエリーをお土産に買ったらしく、そのお店に連れていったセリルさんにガイドのマージンとして20%入ってきたんだよ~と嬉しそうに話していた。
そうか、やっぱりガイドがお店に連れていくとマージンが入ってくるのかと改めて裏の仕組みを知ってしまった。
ちなみにこれも教えてもらったのだが、スーパーで売っているバナナ、一見綺麗で行商人のバナナよりも信用出来そうだが、スーパーのそれは「明日黄色くなる薬」という得体の知れない薬品に漬け込んでから店頭に並ぶらしい。少なくともスリランカでは行商人のバナナの方が味も品質も信用できるとのことだ。これも小売業界の裏話。
私たちの結婚式の写真を見せると、日本は結婚式費用高いんでしょ、という話になった。
娘さんの結婚式では250人もお客さんを呼んだらしい。
だが日本のようにそんなにお金はかからなくて、お料理の費用が一皿4500ルピ―くらいで、60万円くらいあればできるらしい。ハネムーンも日本人のように海外などにはいかず近場で済ませるようだ。
それでもスリランカでの60万といったら、結構なものなのかもしれない。
スリランカでは大学は無料らしい。
え!!と思ったが、それでも行かない人の方が多いみたいだ。
私の感覚からすると、無料の大学なんてありえなくて無料なら行くに越したことはないと思ってしまうが、スリランカではお金を稼ぐ方が先決なのだろう。
ちなみに国の病院も無料だが、その代わり税金が高い仕組みになっているようだ。
仕事の話になると、スリランカの人は仕事しないと言っていた。掃除が仕事の人がいたとしても、その人は掃除しないと言う。
セリルさんもスリランカ人ながら、与えられている仕事をしない人たちの感覚はわからないらしい。
給料が安くても定年してから20年くらいは80%の給料がでる仕組みになっているため、仕事しなくてもお金をもらえるから仕事しなくなるんだと言っていた。
セリルさんの奥さんが作ってくれた料理の数々。昼食に頂いた。
ベジタブルカレーとお魚の似たものに、お漬物みたいなものと、さやいんげんの煮たもの。
奥さんも日本に半年くらい居たことがあるようだ。
日本は大好きだけど、日本の包丁は嫌いだと言っていた。
スリランカ式包丁は固定した状態で歯を上にして野菜などを動かして切る。
凄く不思議だ。
これは夕食に作ってくれたもの。豆カレーにチキンと目玉焼、それとサラダにビーツだ。
とても美味しかった。
朝食以外は全てカレー。
豆カレーだったり、チキンカレーだったりするが、作り方は一緒で、野菜とたっぷりのスパイスで煮る。
セリルさんがもし宿をキャンセルできるなら、泊まってもいいからねとまた言ってくれたので、私たちは無料でキャンセルできるようだったので、セリルさんの部屋を貸してもらってこの日は泊めてもらうこととなった。
次の日起きると、この日は週末だったためセリルさんの息子さんたちが家に戻ってきていた。
普段はコロンボだったり、それぞれでやっているらしいが、週末はかならずかえってくるという。
朝食には丸く焼いたホットケーキみたいなもの。専用のフライパンみたいなもので作る。
息子さんたちに折り紙を教えながら、昼頃までお世話になった。
偶然の出会いで、とても楽しい時間を過ごさせてもらった。
日本にもまた遊びにきて欲しい。
バス停まで送ってもらい、私たちは次の町に今日こそ移動することにした。
なにかあったら連絡してねとセリルさんの連絡先をくれた。
なにからなにまで、本当に有り難かった。
こんな出会いに感謝。
楽しかった!!!
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