私は酔いやすい体質だ。
小さい時スイミングスクールに通っていて、その送迎バスでよく酔っていたのを思い出す。
行きのバスで酔ったら、その後プールで泳ぐのはかなりの精神力を要するほど辛かった。酔うからという理由だけではないがスイミングに行くのがイヤで、よくサボるために学校に残って友達とくっちゃべっては、バスの時間に間に合わなかったと母に言い訳をしていた。
サボることも多かったけれど、長く続けていたから、泳ぎは一通りできるようになり、今思えば嫌だったけど続けて良かったと思っている。
大人になってからはそんなに酔うこともなくなっていたが、なぜかフィリピンに来てから、あまり調子がよくなくて、アイランドホッピングに行く小さな船を見た時は、やばい、っと思った。
幸いバリカサグ島に着くまでは、ミンティアを大量に食べ、イルカを見つけるのに必死で酔わなかった。
よし、大丈夫だぞ！！っと思って油断したのが悪かったのか。
初めてのシュノーケリングは、超興奮した！何度も何度も潜っては魚を追っていた。
・・・・が、なんか気持ち悪いかも・・・っと思ったときはもう遅かった。
・・・吐きそう。
安全のためにつけているライフジャケットで波に揺られ、酔ってしまったのだ。
しばらくは魚を見たい気持ちが勝って、気持ち悪さを我慢しながら続けていたが、もう駄目だ！！っとボートにあがろうとすると、既に中国人の３人グループがボートに上がってダウンしていた。
気持ち悪い！酔った！！
っと口々に叫びあった。
こうゆうとき人間は国籍や言葉など関係なく、互いを助け合う。
自分も気持ち悪いはずだが、船に上がろうとする私を引っ張り上げてくれた。
早く岸に戻ろう！気持ち悪い！
とウミガメのおっさんに嘆願した。
ムラケンはボートが一杯で乗ることができず、おっさんと一緒に引っ張っている。
辛い・・・
船酔いの辛さは、なってみないとわからない。
中国人の女の子が私の前に座っていたのだが、その子が海に吐き出した。
私もその子の姿を見て、吐いてしまった。
中国人の女の子の方は、いくらか気分が良くなったのか、GOODと私にサムズアップした。
良かった。
しかし私は全然良くならないよ（涙）
岸に上がると地元のおばちゃんが居て、酔った！っというと、おばちゃんはものすごい怪力で、ここを押すと良くなるわよ、と合谷のツボを長い時間押してくれた。
ありがたい。
中国人メンバーはだいぶみんな良くなったみたいだ。
浜辺で濡れた水着をパタパタやっているムラケンは、超元気だ。
そういえば大学生の時にウインドサーフィンの課外授業に行ったとき、波に酔ってダウンして、先に浜に上がって砂浜に座りながら、元気なみんなを遠くでみていたなぁ、とか、北海道のおじいちゃんの船に乗せてもらったときに一瞬で酔ったなぁとか、ムラケンを見ながらしみじみ思い出してしまった。
人を遠くで見るのは、切なくもあるが嫌いではない。
多分ムラケンは、体操でグルグル回っていたから、三半規管が強いのだろう。
うらめしや～
休憩し、少し良くなったが、全快せずに次のバージンアイランドに移動する時間になってしまった。
さらに大量のミンティアを口に放り込んで、よし！っと気合を入れて小舟に乗り込んだ。
バージンアイランドに向かう船は、波が大きくてかなり揺れた。
これはもう耐えるしか道はない！
この時は、さすがのムラケンも気を抜くと酔いそうだったらしい。
海はこんなに綺麗だ。
なんちゅう色してるんですか！
30分ぐらい過ぎただろうか、海の色が更に緑色になってきた。
ターコイズブルーだ！
バージンアイランド！っと兄ちゃんが声を上げる。
！すごい！！
あまりの綺麗さに、酔いもふっとん・・・というわけにはいかなかったけれど、きっと天国に行ったらこういう所なんだろうなと思わせるほど、綺麗な島だった。
バージンアイランドは三日月型の島で、粒子がとても細かい白浜だった。
歩くと、むにゅむにゅっとした足の裏の感触があって気持ちが良い。
海の水は温かく、さらさらな砂と共に優しく肌を撫でていった。
海の色は青色とばかり思っていたが、緑色のグラデーションになっていて、とても透き通っている。
観光客も少なく、波の音が静かに音楽を作りだす。
自然が作り出す美しさは、こんなにも人を穏やかな気分にさせてくれる。
バージンアイランドは潮の満ち引きで、砂浜が無くなって上陸できない時もあるらしい。毎回誰も踏み込まない、新しい島が出来るから、バージンアイランドっていうのかな？？
人が沢山いると思ったら、何かの像だった。
多分、前にいるのが、マリア像で、船に乗っているのが弟子かな。キリストが磔にされている像も奥に見えた。
海だけでも芸術的だけれど、これらの像もマッチしていて、なかなか海の色を際立たせている気がした。
こんな威厳に満ちた像もあった。
パワーがみなぎっている。
ムラケンは元気に倒立だ！
足の先から、ヒーリングされていますな。
うらめしや～
奥に歩いていくと、HIS専用ビーチと書かれたところもあった。
専用ビーチと書かれているけど、みんな自由に出入り。
ちょっとした食べ物もあって、中国人のカップルの連れの子が一人、バナナを揚げたものを食べていた。カップルに気を使って二人きりにさせてあげているみたい。私たちを見ると、これ美味しいよっと言ってきた。
さっきまで吐いてたのに、よくそんな重いもの食べられるな。
こいつ、やるな。
きっとこの海の綺麗さが、彼を癒したのだろう。
ハトの子供もいた。卵らしきものもあった。
すくすく成長してくれたまえ。
流れ着いたのか、ココナッツの実。どこから来たのかな。
ココナッツも趣ある。
向こうでは、台湾人カップルが無邪気に海に入って遊んでいた。
なんて微笑ましい光景だろう。
わたしはというと、まだ具合は悪かったけれど、それでもここに来て良かったと思った。
しばらく、海に見とれていると、帰るよ！と兄ちゃんが大きな声で呼ぶ声が聞こえた。
ウリ坊主のような兄ちゃんと船頭さんが、また長い棒で、船を沖まで出してくれた。
なぜか帰りは、波に慣れたのか、気持ち悪さは治まっていた。
やっと、私の体にも、海のパワーが浸透してくれたかな。
アロナビーチに戻ったのは丁度12時頃。
船を停泊するときは、船頭さんが慎重に船を岸に漕いでいく。
その時の船頭さんの眼光が凄くて、宝石のようにキラキラしていた。毎日あんな綺麗な海を見ていたら、こうゆう目になるのかなと思った。
昨日は疑いまくって見ていた兄ちゃんも、精悍だった。
真っ黒に焼けた兄ちゃんと船頭さんに、楽しかった！ありがとう！！っといって握手して別れた。
盛りだくさんで、沢山綺麗なものが見れて、しかも船酔いつきで！かなり良いツアーだった。
いやいや、船酔いなければもっと良いのだろうけど、船酔いしてでも行く価値あるくらい本当に綺麗だった。
よく分からないけど、ブランコがあったから、乗ってみたよ。
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酔いづらくするには、水を多く飲むことと、目を閉じることが良いらしいです。
寝不足もダメみたい。
絶対酔わない、といった気持ちでも効果あるみたいだけど、やっぱり薬を予め飲んでおくのが良いかな。
私は日本から持参するのを忘れて、買っておけば良かったと心から思っている。
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