日本軍の痕跡をまわり、整備されていないのが逆に生生しく時間の流れも感じた。
ここで一通り今日見て回るところは見終えたのだが、時間もまだ余っていたのでアモスの提案で島をぐるりと周ってくれることになった。
ドライブ中に、こういった歴史は学校で教えてもらうの?と聞かれた。戦争のことは教えてもらうけれど、パプアニューギニアと日本軍のことは学校では教えてもらってない、と答えた。(教えてもらっていたかもしれないが私たちは忘れていた)そう答えて、日本の歴史を全然しらないと改めて実感し、なんだか申し訳ない気分になった。
アモスは学校で何を学んでいたの?と聞いたら、アモスは学校に行っていないと言う。行きたかったのだが家にお金がなくて行くことが出来なかったらしい。でも僕は親から譲り受けたこの車で働くことが出来ているんだ!と明るくアモスは言った。
そうか、やっぱりパプアニューギニアでは学校に行けないこともあるのか、とはっとした。
次にアモスが連れて行ってくれたところは、教会。
なんだろう、と思っていると教会を素通りし、坂をどんどん登っていく。見晴らしが良い丘の上まで行くと、welcome to KABAKADAと書かれた場所に着いた。
上に着くと、どこからともなくおじさんが現れていろいろ説明してくれた。どういった人かわからないが。ここを新しい観光地にしようとしているらしい。
敷地には花が咲き乱れ、その中にお墓が沢山ある。
なんとこのお墓、カニバリズムの犠牲者のものなのだ。
カニバリズムとは人食い文化の事だ。
そう、パプアニューギニアは食人文化が昔あった。本で調べるに、セピック川流域では首狩りというものがあったようで、首を切って殺した敵の遺体は加熱して食べる習慣があったらしいのだ。内臓と脳を食べるのは男性で、強さや勇気が得られると信じられていたよう。そして他の残りの部分を女性や子供が食していたという。またイースタンハイランドという地方のフォレという部族の間では、亡くなった人の親族が弔いと尊敬の思いから食べていたらしい。
キリスト教がパプアニューギニアに入ってからカニバリズムは禁止されたが、実際には20世紀後半まで続いていたと言われている。
人を殺してはいけない、人を食べることなんて考えられない私たちにとっては信じがたいことだが、人間というのは信じられていることによって形成されているのだなと思った。なんの疑いもなく生活に組み込まれている考え、というものの不確かさを感じた。
文字が書かれたお墓があったので、あれはなんていう人のお墓なの?と聞いた。
あれは、犬の墓だ。
・・・・・・。
アモスがビールは好きか?と聞いてきた。勿論好きだよ!と答えると、じゃあ買えるところに連れていくよ!と連れて行ってくれた場所は、
滅茶苦茶きれいな海!うお~とムラケンと共に声を上げた。こっちだよ、と連れられて行った場所は小さな売店。
パプアニューギニアビール代表格のSPビール!!一缶6キナ!
ちょっと海の方見てくる!とアモスに言って、プシュっとビールを空けた。うまい!!
味はどちらかというとコクがあり、日本のビールでいうとエビスよりは軽薄な感じで、プレミアムモルツみたいな甘さはない、庶民的な味、という感じとムラケンは分析していた。
この透き通った海!なんて綺麗なんだ!
どこからともなくおじさんがやってきて(パプアニューギニアではどこからともなくおじさんがやってくることが多い)このビーチは「トクノウ」と言うんだよと教えてくれた。日本のトクノウさんにちなんで名づけられたらしい。そして時間があるなら、ここのビーチからボートで一時間くらいいったところにある島が最高に綺麗だから是非行くと良い、と教えてくれた。私たちは今回は無理そうだからまたいつか行けたらいいなと思う。
そしてアモスのところに戻ると、僕の兄ちゃんも一緒に車に乗っても良いか?と聞いてきた。アモス、兄ちゃんいるんだ!
全く問題ないので、勿論!と即答すると、ビートルナッツを噛んだために歯が真っ赤になっているアモスの兄ちゃんが満面の笑顔でやってきた。二頭筋凄いんですけど。
手にはビールの缶が大量に入ったビニール袋を持って。
彼はキャプテン。(名前聞いたけどニックネームしか覚えてない)
名前だと勘違いして、キャプテン・・・とちょっと笑いそうになってしまったが、キャプテンはボートのオーナーをやっていて、さっきおじさんに勧められた島にいくボートを沢山持っているらしい。
キャプテンは非常にハイテンションでこれまた良い奴だった。キャプテンと話しているアモスは、さっきより子供っぽく見える。
4人になった車の中で、キャプテンがビールを配り始める。アモスは流石にドライバーなので飲んではいなかったが。キャプテンは車が走り出すやいなや早口でべらべらべら、と話し始めた。アモスが、兄ちゃん、ゆっくり話さないとあまり英語が理解できないよ、slowly,slowly,と言ってくれた(笑)
似てないね、というと腹違いの兄ちゃんなんだ、とさらっとアモスが言う。
おう、アモスも色々あるんだな。
途中、これはカカオの木だよ、と車を止めてくれた。パプアニューギニアはカカオでも有名なのだ。
チョコレートはかなり濃厚でガツンとくる。
途中、ガーリックナッツ、食べたことあるか?とキャプテンが聞いてきて、ない、と答えると、マーケットが開かれているところまで行き、大量に買ってきてくれた。
こうゆう風に葉っぱでつつまれていて、味自体はミルクのような味で非常に美味しい。
更にキャプテンはビールをもう6缶買ってきて、私たちにくれる。キャプテンはオーナーだから羽振りが良いのかな。すでに私たちはちょっと酔ってきていたけれど、ありがたく頂戴した。今度のビールはICEという銘柄。これもパプアニューギニアでは人気のビールなんだよ、と教えてくれた。味はSPビールよりもかなりあっさりめで、日本でいう発泡酒に近い。美味い!
日本の歌が聞きたいというので、スマホに入っていた朝崎郁恵の歌を流した。ゆっくりとしたメロディーでこっちの人はこうゆうのより盛り上がれる感じなのが好きそうだな、と思ったが、アモスもキャプテンも気に入ったのか、NICE!NICE!と連発して盛り上がっていた。次はパプアニューギニアの歌が聞きたいというと、流してくれた音楽はやっぱりテクノ系だったけど!!
この場を楽しもう!という気持ちが嬉しくて、とても楽しかった。
最後にアモスは、大砲がある場所に連れて行ってくれた。この大砲はツアーとかでは回らない場所のものだから知られていないらしい。砲口を除いてみると、かなり大きくて、ぞくっとした。
そしてこちらは機関銃。いきなり草の中から現れる。
もうこのあたりはしんみり日本の痕跡を見るって感じではなくなってきていたけど・・・。アモスが少年のように機関銃を触っている。
機関銃の横に畑あるし。生活の一部になっている感じ。
そしてでっかい電波塔。デジセルという携帯会社のものだ。機関銃と大砲のすぐそばにそびえたっている。
携帯電話が普及する以前のパプアニューギニアの通信手段は叫ぶことだったらしい(笑)
ひとしきりドライブを楽しんで、キャプテンの家まで行って、キャプテンとお別れした。
アモスが他に行きたいところあるか?と聞いてきてくれたけれど、お腹も気持ちもいっぱいな私たちは、もう満足したから帰ろう、とホテルに戻りアモスと別れた。
楽しかった。そして、いろんな意味でじんわり心に残る一日となった。
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