アンマンに着いてから雨が多くどうも雨の日は外に出る気がしない。
移動した宿のブティックホテル・アンマンの部屋は、狭いが居心地が良く暖房も効いていたので小さい窓から雨に濡れたアンマンの街並みを眺めた。
この古めかしい感じと雨のしっとりして寂しい感じが、なんともアンマンの街並みに似合うと思った。濡れた石畳が日本髪のつやっぽさに似ている。
これにアラビックコーヒーの香りが漂うと更に良い。
そんな雨も今日は過ぎ去り、晴れ間が出てきた!
と言うことで、ちょっと足をのばして、ヨルダンの定番、死海に行ってみよう!ということになった。
死海という漢字で連想するのは、入ったら誰でも溶けてしまう海とか、自殺の名所の海、とかなんだか怖い連想をしてしまうが、死海はそんな所ではない。そもそも海じゃなくて湖。
死海に入ると、不思議や不思議、みんながぷかぷかと浮いてしまうという、世にも不思議な湖なのだ。
死海と言うのは海抜マイナス420mに位置していて、塩分濃度が30パーセントもあり極端に高いことから生物が生息できないらしい。そしてこの高塩分濃度のために勝手に体が浮いてしまう現象が起こるというのだ。ベストシーズンは11月、2月、やや暑いが5月から10月となっていた。
この時は12月の中旬でアンマンの街はダウンジャケット必要なほど寒いが、死海は海抜420mの場所に位置しているため12月でもちょっと肌寒いくらいみたいだ。
私は死海というものは知っていていつかぷかぷかしてみたいなと思っていたが、それがヨルダンにあることはヨルダンに入るまで知らなかった。
なので、死海があると知ったときは、しかもアンマンから日帰りで行けると知ったときは結構びっくりした。死海という漢字から、勝手にすごい行きづらいところにある秘境みたいなところなのかなと勘違いしていたからだ。
死海はもはやリゾート地になっていて、多くの大型ホテルも周りにある。
死海の泥はミネラル分たっぷりで肌にとっても良いらしいので、保養地としても有名らしい。
ふむふむ。
死海のツアーはアンマンから沢山でているが、私たちは自力で行くことにする。
ちなみに死海には無料のビーチ、公営のビーチが2つ、ホテルのビーチがあるようだ。
ガイドブックなどをみれば詳しく載っていると思うが、参考までに代表的なところをあげておく。
・アンマンビーチ(8:00~21:00)
アンマン市で作られた公共施設。
1 シャーティアンマン12JD(トイレ・シャワー室のみ)
2 ムンタジャアンマン20JD(プールやレストランも使える)
ロッカー5JD(うち3.5JDはデポジット)
泥3JD
・オー・ビーチ 9:00~21:00(金曜日~24:00)
2009年にオープンした私営の高級ビーチクラブ
入場料25JD
タオル、泥、ロッカー10JD(うち7JDはデポジット)
私営の方が設備は当たり前に良いし、死海も綺麗みたいだ。
死海に入るのにも結構お金が掛かるんだなぁと思い、無料のビーチに行くことを考えたが、無料のビーチはゴミが散乱していたりで汚いみたいなので、私たちが選んだ場所はこの代表的なビーチからもっと南下したところにあるワディ・ムジブ自然保護区にあるムジブシャレ―のビーチに行ってみることにした。
ムジブシャレ―は小さなコテージになっているらしいが、宿泊者でなくても10JDでビーチ・シャワーが使えるらしいのだ。
まず向かうのは死海を通るバスが出ているアンマンのムジャンマ・ジャヌーブというバスターミナル。
ちなみに代表的なビーチに行きたい人は、アンマンのムジャンマ・ムハジェリーンというバスターミナルから6:00~17:30でシューネ・ジャヌービーヤ行(1JD)が頻発している。分岐点のラーマと言うところで降りて、そこから白タクのワゴン車とかタクシーで向かうことができるようだ。タクシーの多くは片道4JDらしいが、往復待ち時間込みの交渉になることが多いようである。
私たちはまずムジャンマ・ジャヌーブへ、アンマンのオールドタウンからセルビスでいくことに。セルビスは金曜日だけ開かれている鳥スークの近くから出るらしい。
ちょうどこの日は金曜日だったので鳥スークが開かれていて、沢山の人々でごった返していた。
鳥の他にうさぎなんかも売られている。ヨルダンの男性は鳥を飼うのが好きらしい。
さて、目的のセルビスだが、乗り場の辺りに行ってもただのタクシーの運ちゃんが勧誘してくるだけで、セルビスに乗りたいのだといっても、ない、ない、と言って埒が明かなかった。
セルビスはアラビア語でしか行先が書いてないし、使いこなすのは難しそうだ。
ということで、ムジャンマ・ジャヌーブまでの道のりをしらべてみると、徒歩でも歩けないことはなさそうなので(といっても、1時間くらいかかるけど)取り敢えず徒歩で向かってみることにした。
10分くらいprince El Hassan Street沿いを歩いていると、多分あれがセルビスだろうなという車が沢山通り過ぎていく。
バス停らしきものもチラホラと見える。バス停で待ってみて車停めて聞いてみようと話しているところでちょうど向こうからバスらしきものが走ってきた。
バスといってもバンみたいなものだが、私たちの前でそのバスは停まってくれた。ムジャンマ・ジャヌーブと聞いてみると行くというので、このバスに乗り込んだ。
料金はひとり0.3JDだ。
バスを近くの大通りで降りて5分ほど歩いたところムジャンマ・ジャヌーブはある。
バスターミナルには沢山バスがあるが、行先などは書かれていないのでその辺の人に聞くのが良い。
dead seaと言えばここで待ってろと言われる。
待っていろと言われた場所には車はおろか全く人もいなかったが、1時間ほどすると車がやってきて、ちらほらと人も集まりだした。
ムジャンマ・ジャヌーブから死海への車は時刻表なんてなくて、よくある「人が集まったら」制度なので、とにかく待つしかない。こういった国は兎に角早めに出発することだ。
バス代が解らなかったので、運転手には聞かずお客さんに聞く。
一人2JDDでいけると教えてくれた。
運転手に聞かないのはボラレル可能性が大きいからだ。ヨルダンはぼったくりでも有名。地元の人からわざわざはじめにボったくった料金を集めて、後からツーリストにばれないように地元の人に差額を返すということまでするという話まで聞いたことがある。
バスの中で待機するも、バスはなかなか出発してくれなくて、お客さんがいっぱいになるまでさらに1時間くらい待った。
死海までは約1時間だ。死海の反対側には見事な岩山があってこちらも見応えがある。
死海に近づくにつれて、明らかに気温が上がってきているのがわかる。
死海が見え始めたころには、太陽がギラギラと照りついていて、もうダウンなんていらなかった。
私たちは公共のビーチも私営のビーチも通り越して、ワディムジブ自然保護区のビジターセンターの前で降ろしてもらった。この橋のすぐ横にビジターセンターはある。
そして反対側に青い色を湛えた静かな死海が見える。
全く人気がないビジターセンターに顔を出すとおじさんが一人いてムジブシャレ―に行きたいと言うと、車でムジブシャレ―まで送ってくれた。ビジターセンターとムジブシャレ―はそんなに離れていないが、歩くと10分くらいはある。
奥の建物がムジブシャレ―。
送ってくれたおじさんにお礼を言って、シャレ―のスタッフに死海に入りたい旨を伝えると、なんとこの時期は季節外で部屋には泊まれるらしいが、貸し出しシャワーやロッカーはやっていないのだという。
えええ・・・・。とショックを隠せない私たちにスタッフの人がシャワーもなにもないけど、少しいったところに自由に入れるところがあるよと教えてくれた。
もうこうなったら、その辺で着替えて、ベットベトになりながら帰ろうということになって、スタッフが教えてくれた方に行ってみることにした。
その前に死海があまりにも綺麗だったのでムジブシャレ―の周りを散策した。
一台の車がやってきて、どうしたんだ?と声を掛けてきた。
死海に入りに来たんだと言うと、ここから先は行ってはいけないよ、と言われた。どうやらムジブシャレ―のすぐ近くは軍事施設の領域になっているらしく、私たちは知らず知らずその領域に足を踏み入れそうになっていたのだ。
危ない危ない…。
さっきの橋を渡ってビーチの方に歩いていくと、こんなところに辿り着いた。
誰もいない。
ということで、ここで急いで水着に着替える。
見事に浮いて見せました!!
より良く浮くには体の力を一切いれないこと。絶対浮くから怖がらずに水に体をゆだねると面白いほど体が浮いてくる。
ぷか~
塩分濃度が濃いので、足を入れるとこんな風に水がもや~となる。
12月だったが、水温は全く冷たくなかった。
死海にはいれるのはせいぜい10分が目安らしい。それを超えると皮膚がヒリヒリしてくるようだ。私は指に怪我があったので、染みるのが怖かったが、そんなに染みることはなかった。
この後多くの人は死海の泥を掘って体に塗りたくって何十分か放置してから生水で綺麗に洗い流すらしいのだが、私たちは流すシャワーもないので泥塗りは断念した。
この辺りは人気もなく本当に贅沢に死海を堪能できる。
まるでここは火星のようだ。
大きな石にはびっしりと塩分が凝固している。
死海前で倒立。
私たちが着替え終わってまもなく、地元の家族がやってきた。
ここはイスラムの国。
服を脱いで死海に入ったのはお父さんと子供たちだけ。娘やお母さんはみんなが遊んでいるのを入らずに見ているだけだった。
自由に入れないのは勿体ないなぁと思ってしまうが、そんなことは私が言えることではない。
欧米では上半身裸で堂々と海に入っていく女性が沢山いるのを思い出すと、この違いが面白い。
帰りのバスの時間が4時ごろまでだと聞いていたので、そのバスを捕まえるべくまた橋のある大通りまで引き返した。
橋のしたのダムを眺めながら、アンマンに戻るバスが通るのをのんびり待つ。
が・・・、のんびりも待っていられないことに段々気づき始めた私たち。
なせなら通るバスはどれも満杯で乗れないからだ。
そういえば、ガイドブックに書いてあった気がする。
困った私たちは近くにあった警察の検問のところまでいって、警察の人にバスが捕まらないんだけどと相談してみた。
警察の人が通りすぎる車に聞いてくれたりしたが、なかなか車はつかまらない。
途中胡散臭そうなトラックのあんちゃんが高い金額を提示してきて乗せてあげるよと言われたが、高すぎるし、乗っている人が怖そうだったので断った。
よく旅ブログで死海の帰りをヒッチハイクで帰ったとか書いてあったから最悪ヒッチハイクすれば簡単に捕まるだろうと思っていたが、全然捕まらない。
一時間ぐらい後、乗せていってくれるという車がやっと停まってくれた。
ちょうど日が落ち始めるころで、夕焼けが死海を鮮やかに彩り始めていた。
乗せてくれた人はお医者さんだった。
ベラルーシで大学に通ったのち、ここで働き始めているらしい。
途中の道に温泉が湧き出ているところがあるのだが、こういった無料のところは変な人が多いから行かない方が良いとか、道座っている人がチラホラいるのだが、彼らはお金があるのに家にちゃんと住まないでずっとああしていて自分には理解不能だ、とかヒッチハイクは危ないから本当はしない方が良いよとか、ヨルダンは日本みたいにそんなに安全じゃないから気をつけなきゃいけないとか、色々と注意をされた(笑)
途中彼は青空市場で大量のキュウリを買って帰った。
こういったところの野菜の方が美味しいらしい。
彼は私たちの宿の前まで送ってくれた。
私たちが良い宿に泊まっていると勘違いしていた彼は、私たちがここだと宿を指さす方向を見ても、え?どこにあるの?と最初分からなかった。
やっとこのおんぼろ建物は宿なんどと気づいた彼は、こんなところに泊まれるのかな?と思いながらも、nice!と誰もがお世辞とわかる表情でいった(笑)
お医者さんの彼はきっとヨルダンでは上流階級の暮らしをしているのだと思う。
ちょっと恥ずかしかった(笑)
良い人で本当に良かった。
さて、死海の水を落とさずにいた肌はベタベタとしている。
早くシャワーを浴びよう!
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