この記事は、2017年6月2日の出来事です。
ロジェさんの家に一晩泊まらせてもらい、次の朝にはロジェさんの故郷、ティオ村に移動することになります。
ロジェさんの奥さんのアイノさんが朝食を用意してくれました。
どうやらベナンでは柔らかいバゲットがよく登場するようです。左に見えているものはトウモロコシのお粥です。その名も「ブイ」。少し発酵させてあるので、酸味があります。ここ西アフリカで「ちょっと発酵」って、聞き捨てならないワードですが、お腹は大丈夫でした。
お粥をおかずにパン食べるって、もはや全然平気です。
外ではロジェさんの息子さんがユーヘイさんの自転車を洗っていました。偉い。しかしこの暑い中、ユーヘイさんは昨日の合流地点まで自転車で50キロくらい走ってきたというのだから、そして合流してから我々のコーディネーターを務めてくれているのだから、頭が下がります。
ロジェさんが気を遣って扇風機を回してくれていましたが、それでも暑い。
冷凍してあったビニールパックの飲み水に穴が空いてしまっていたので、穴からこぼれる氷水を浴びて涼をとります。後ろではしほさんがレインボーアガマを追いかけていました。
チャーターした車に荷物を積み上げて、ティオ村に移動します。
ベナンはキリスト教国家なので、車にキリストステッカーをやたらと貼ってあります。たまにフロントガラスにもでかでかと貼ってあるのを見ましたが、お守りなのに逆に視界悪くて危ないなぁなんて思ったり。そういえばセネガルでは子供の靴を車内にぶら下げていました。国や地域によっていろんな習慣があってホントに面白いです。
ティオ村に到着する前に、ロジェさんの弟さんが働いている病院に立ち寄り、合流します。
やはり識字率が低いのか、受診先をイラストで表示してあります。これはフランス語が解らない我々にも解りやすい。ここではユーヘイさんが通訳してくれるので頼りっきりですが。
ちなみにロジェさんは日本語を勉強しているらしく、ちょっと日本語が出来るよ~とのことでした。聞いてみると、いち、に、、、さん、、、しち、ご、、、ろく、、
勉強は、あまり進んではいないようです。車はさらに北上していきます。
道中、袋詰めされた白い粉が並んでいるのをよく見かけました。これは、トウモロコシの粉末だそうです。あぁ、朝のブイの材料になるものだな。
ベナンではトウモロコシ粉を使って主食を作ることが多く、お粥スタイルのブイや固めてプリンみたいにした「アカサ」、揚げた「アタ」というのもあります。
トウモロコシ粉以外にも米を食べたりヤム芋を食べたりします。けっこうバリエーションあるなぁ。
遠くに巨大な岩山が。一枚岩っぽいです。こういう大きな一枚岩はよく聖地として崇められる傾向にありますが、ベナンではどうということはないようです。地質柄、いっぱいあるのかな。
さて、ティオ村での宿泊先となる、村長さんの別宅に到着しました。
さすが地元の名士だけあって、しっかりした造りです。二階建てだし。
しっかりしていたのは外観だけでした(笑)しばらくの間使っていなかったのか、砂まみれになっている部屋があったり鍵が壊れて施錠できなかったり、洋式便器はあるものの便座が無く汲み取るシステムもないので匂いがきつかったり(当然のように汚れがベッタリ)夜はネズミがうろちょろしていたり・・
贅沢は言えませんが(というかここで贅沢言っても解決しません)、改めて西アフリカって大変だなぁと思うのでした。
ティオ村に到着したのが夕方で、すぐにお祭りがあるということで、その会場に向かうことに。
前を歩くお揃いのセットアップの二人組はロジェさんとアイノさん夫婦。建物を見るに、いかに村長さんの屋敷が立派なのかが分かりますね。
さて、この日のお祭りは、年に一度、ブードゥー教の神様の一柱である「ザンベト様」が世に現れる日なのだとか。そのザンベト様を拝みに我々はやってきたのです。因みに後日、また別の一柱「エグン様(クビト様とも言うらしい)」が現れる日もありました。エグン様の様子は別の記事で。
ブードゥー教には様々な神(精霊)がいて、日本の神道や古代ギリシャ神話、パプアニューギニアの精霊信仰に近いものがあります。しかしながら、現代においても人々の生活や考え方の中心となっているという点では特筆すべきものがあると言えそうです。
我々は病気をしたら病院に行き、トラブルが起きたら法律があります。
しかしブードゥー教エリアでは、病気をしたらウィッチドクターに占ってもらい、トラブルがあったら呪物を使って解決するという手段を選びます。
多くは狭い村社会の中で問題の発生から解決までを済ませるため、村人は村の中で特に目立つ行動や不利益をもたらすことを極端に恐れています。悪目立ちすることや迷惑を掛けることは、すなわちウィッチドクターによって邪悪な存在と見なされ、処分の対象にされてしまうからです。村で盗難があれば、犯人は村の中心で生きたまま火をつけられ、殺されてしまうのだそうです。
かつて学校での不正を暴露しようとしたアメリカ人ボランティアが闇討ちにあって殺された事件があったそうですが、それもそのような背景があったからだということです。
だから、よそ者を招いたロジェさんも、後で村の長老たちの家や親せきの家に我々を連れて挨拶に行かなければならないし(親戚の家は多分会わせたかっただけと思われる)、お祭りを見るにあたって我々も寄付金を用意しなければならないのだそうです。ちなみに寄付金は、一人10,000セーファ(約2,000円)。500セーファで一食ありつけることを考えれば、けっこうな金額です。ていうか金の力でっていう。
前情報はさておき、ザンベト様が現れる広場にやってきました。ジャンベ隊がいて、みんな腰ふりダンスを踊っています。
盛り上がっています。そして、左隅に見えているショッキングピンクの派手なケモノ、それが、
ザンベト様!!
デカいです。3メートル近くあるんでないか。ザンベト様はお金が大好きで、かなり激しめに動いていました。
ザンベト様に角で攻撃されます。お金を渡すと退散してくれる・・っていうカツアゲですね。角はかなり硬いので、怪我しないように後ろの人が押さえてくれています。僕はダカールで財布をスられてからお金を持っていなかったのでユーヘイさんがお金を渡して散らしてくれました。
ブードゥーはトランスに入る信仰なのもあってか、ザンベト様をはじめけっこうな人数に熱がこもっていました。
日本の古いお祭りなども豊穣を祈るものなどにはセックスアピールがつきものですが、ベナンはより露骨な動きで盛り上がっていました。
3歳くらいのちびっこも腰振ってます。
トランスしすぎて倒れるザンベト様。みんなで起こしてあげます。パプアニューギニアでもバイニン族が酸欠で倒れてたなぁ。
仕切り直しと、休んでいるザンベト様2号。1号の相変わらずの涼しい顔がビミョーに腹立つ(笑)
ベナンでもしばしばスマホを目撃しますが、ブードゥー教やウィッチドクターが浸透している社会にも、ちゃんと現代科学技術のアイテムも浸透していることに違和感を覚えます。ていうか未だかまどで料理してるんだから、そっちが先だろ。
これら2体は科学特捜隊やウルトラマンが出動してきそうです。
儀式的なものはなく、みんな盛り上がってザンベト様たちが疲れて退散したところでお開きになりました。その後、すっかり暗くなった村をロジェさんに案内され、長老たちや親せきの家をあいさつ回りするのでした。
晩ごはんは、発酵トウモロコシ粉を固めたプリン「アカサ」でした。アカサにおかずを載せて食べます。僕はブイよりアカサの方が好きだな。
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この時滞在していた宿はコチラ⇒ティオ村長別宅