前日に話題になっていた儀式は、宿のおっさんからは結婚式だと聞いていました。日本の結婚式は招待された人だけが参加するものだけれど、中国の結婚式のように通りすがりの人も参加していいのかなと思いました。
結果からいうと、途中まで入ることが許されませんでした。
そして結婚式だったのかさえ、分かりませんでした。会場に入れるようになってから見ることが出来たのは成人の儀式で、その前に何が行われていたのか分かりません。
おっさんが間違えたのか、前半は結婚式だったのか・・・ちなみに新郎新婦らしき姿はどこにも見当たりませんでした。だから多分おっさんがウェディングと言っていたのが違うんだろうなぁ。
とにかく、なんらかのローカルイベントを見学することが出来るというので我々は嬉々として出掛けていくのでした。隣の客室の人は何故だか「昨日行った」みたいなことを言っていて部屋から出てくることはありませんでした。え、昨日もやってたの?露とも聞いてないけど。
結婚式(じゃなかったけど)に参加するにはやはり伝統的な正装をしなくてはならないということで、宿の人が男女それぞれの正装を貸してくれました。
男性の正装。上は裸であるくワケにもいかないのでポロシャツ着てます。ペランジバンガローのエントランスとともに。
女性の正装。一度脱ぐと着方がもう分かりません(笑)
会場までは宿からおよそ10分。途中、同じように正装した地元民が沢山歩いていました。着いてみるとどこで聞きつけたのか、見学の外国人も沢山いました。正装している人もいれば、普通の格好の人も。しかしいずれの人たちも中に入ろうとすると追い出されてしまいました。
会場入口にはこのような釣り竿みたいなものが。これクドゥンガナンで見た奴だ。
入口から中を覗くとこんな感じ。奥の櫓の向こうで何かが行われているようですが、見えません。入ろうとするとやはり追い出されます。仕方ないので塀の外側で覗き込むように成り行きを見守ります。
お供えのようなものを頭に載せて中に入っていく人が沢山。
この時はまだ結婚式だと思っていたので、このお供えの人の数をみてどれほど盛大な結婚式なのかと驚いていました。
そして、一度集まったらしいお供え軍団が会場の奥へと移動していきます。その列もなかなか途切れませんでした。
お供えは頭に載せて運ぶものや、牛の場合もありました。
というのを一通り眺めた後、儀式に全く動きがなかったので、終わりなのかな?最後まで入れてもらえなかったな~と宿に帰りました。
一息ついているとおっさんがやってきて「あれ?もう帰ってきちゃったの?これからが本番なのに~。俺も行くんだよ~」と言っていたので、折を見てもう一度向かうことに。ていうかおっさん、行くなら連れてってくれ。
あれ、現地の人?・・・万琵でした。着こなしてますね。
会場に着くと櫓の手前は閑散としており(というか散らかっていた)、その向こうで何かが行われているようでした。入っていいのかな?
入っちゃいました。おそるおそるでしたが、中にカメラを提げた外人がいたのを見て急に安心する我々。先ほど見たお供えがうずたかく積まれていました。
何かを見ながら一生懸命歌う、ババさんコーラス。その横には・・・
やすりが。そして・・・
仰向けにされて泣き出しそうな男の子。さて、何が起こるのか?
ぎやぁ~っ!
調べてみると、この儀式は「ポトンギギ」といって、犬歯のように歯の尖っている部分を平らに削ることで大人の仲間入りをする通過儀礼だということでした。冒頭で成人の儀式と言いましたが、特に20歳には限らず、結婚式までに行うのが良いとされています。見ての通りとても費用が掛かるので集団でやったり結婚式と一緒にやったりするそうです。
なるほど、おっさんの言ってたウェディングもちゃんとやったのかもしれません。
悪霊に憑かれやすいタイミングらしく、親や親せきが周りを囲んで守っています。黄色い服の人はお母さんかな?娘の儀式に涙ぐんでいます。真後ろの人、白目剥いてるけど、悪霊に憑かれてない?
無事に終わったようです。お母さんの顔もほころんでいます。よかったね。
終わった後は颯爽とバイクの後ろに乗って帰っていきました。
バリ文化の普段表には現れない部分を見ることが出来ました。
歯を削る。我々からすると意味不明な行為ですが、連綿と受け継がれてきた行事で皆それをきちんと受け止めて実行すること、そこに沢山の人の不安や喜びが介在している―いいもの見れました。
さて、夜には王宮で舞踊鑑賞です!
今回はPanca Artha(パンチャ・アルタ)という団体のガボールダンスというものです。
他の舞踊団同様、ガムランの演奏から始まり、続いてレゴン・トランス。場と衣装を清められた踊り手が憑依状態となって踊る演目です。二人の踊り手がぴったり息の合った動きをします。
我々の中ではお馴染みとなったジャウッ。
レンチャナ・アグン・ウブド。傘と「UBUD」と書いたマークを持って踊ります。
クビャール・トロンポン。以前観たクビャールドゥドゥックを創作した人が創った踊りだそうです。こちらも座位で踊る場面が多いですが、加えて踊りながらトロンポンという楽器を演奏するという、なんとも複雑で忙しい、高い熟練度が要求される踊りです。
大胆な動きでありながら妖艶で繊細。これは引き込まれます。
続いては「ビマニュウ物語」。インドの叙事詩マハーバーラタから題材を得た物語舞踊で、すごく掻い摘んで言うと恋愛のもつれと悪魔退治の話です。
主人公ビマニュウ王子。凛々しく勇ましいバリスダンスを披露します。バリスダンスはいつ見てもかっこいい。
魔女カリカ。ビマニュウを食べようとしますが、彼が偉大な力に守られていて太刀打ちできません。
死の悪魔ドゥルガ。大ボスですね。しかしこの悪魔もビマニュウの踊りを見てその血筋の高潔さを認め、食べることを諦めて和解します。
といったところで一件落着、彼女とも上手くいきましたとさ。というお話です。
今回は舞台全体が高い集中力で演じられていた感じがあり、ピンと張り詰めた空気の中、非常に高いレベルのものが観られたと思います。
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