絶景舞踏

旅記事338 静寂が漂う湖 イミルシルを訪れる


この記事は2017年4月22日の出来事です。

ムラケンとユーキ君からのハマムでの出来事の報告は、お腹がよじれるほどおかしくて、ハマムが良かったのかはさておき、私としては最高に笑った出来事だった。

ハマムの話はこちらから

この後、旅先でユーキ君とは何度も会うことになったのだが、その度にハマムの思い出を語って、爆笑する。何度聞いても飽きない(笑)

是非、モロッコではハマムへ!!

ティネリールから行ける観光地としてはトドラ渓谷が一番メジャーだが、私たちはもうひとつ行ってみたいと思う場所があった。

イミルシルという所だ。

この場所はメルズーガのオアシスという宿に泊まっていた日本人から、良かったよ~と教えてもらった場所で、ティネリールから行けるということで気になっていたのだ。

といってもあまり公共交通網が通っていないところで、ちょっと行きづらい場所にある。オアシスの日本人もレンタカーで行ったとのこと。

私は免許は持っているが、運転には自信がないので、行くなら公共交通網で行くしかなかった。

ユーキ君は興味ないというので、この日はムラケンと二人で行くことにした。

宿の人に行き方を聞いたらバスターミナルから一日に何本かバスが出ているとのこと。バスターミナルは町にある方ではなく、私たちがメルズーガから来た時に降ろされた遠い方のバスターミナル。

ということでタクシーでバスターミナルまで行くことに。

グランタクシー乗り場辺りのタクシーを捕まえれば良い。遠くのバスターミナルまでは6MDだった。グランタクシーは乗り合いタクシーなので私たちと他4人、子供が乗って一人3MDhだった。

何時のバスがあるかは分からないとのことだったので、早めに宿を出て9時20分にバスターミナルに着いた。

バス乗り場

バスターミナル外の道路で待つ。いくつかのバスが止まっていたが、バスといっても大型のものは無くて、ミニバスの大きさだ。

イミルシルへのバスはここで待ってろといわれた場所で待つ。バスは11時20分には来るはずだよ、と言われた。あと2時間も待たなきゃいけないのかと思ったが、やることもないので唯一あったベンチに座って待つ。

特に案内版は無く、地元の人は道バタにそのまま腰をおろして待っていた。

2時間経過。

バスはちょっと遅れて11時40分に来た。

あ~やっと来たよ~!といそいそとバスに乗り込む。乗客は私たちの他に地元もおばちゃんと、おじちゃんが数名。

やっと出発だ~!!

…1時間経過。

早く行きたい気持ちで一杯の私たちに反して、バスは全く出発しようとしない。

バスが来るまですでに2時間以上待ち、さらに一時間ももう待っている。私たちとしては、もう待つのはウンザリな気持ちになってきた。

他の乗客はのんびりしたもので、お昼をどっかで買ってきて食べたりしている。

運転手はどこかに行ってしまい、戻ってくる兆しなし。

まぁ、乗客が集まるまで待つことは、今までも何度も経験しているので、気長に待つしかない。

…さらに1時間。

隣に座っていた地元のおばちゃんも、まだ出発しないのかしら、と言う顔に変わってきた。

もう、うちら計4時間も待っているんですけど…。

もう考えることもなく、無心状態。

時刻は9時20分から待ち始めて、お昼を超えて13時半になる…。

無心が今度は不安に変わって、このまま出発しないんじゃないの?と気持ちになったときに、運転手がやってきて、

悪びれた様子を全く見せず、さぁさぁ行くよ~!と言った。

これがここの常識なのかもしれないな…

もうやめようかとも思ったが、これだけ待って行かない訳にはいかないと意地で行くことに。

イミルシルまでは3時間半くらいかかるはず。着く頃には夕方になってまう、あ~なんてこった!!

ロバが荷物運び

バスはまず、昨日行ったトドラ渓谷まで行き、そこを通りこして一本道をどんどん奥に走って行った。ちなみに運賃は一人、40MD。

なんとも間が悪く、雨が降り出した。ロバも急ぎ気味で家路に急ぐ。

あああ、今日はなんだかついてないぜ…悲

ラクダも帰る

空の色と同化して私の心もどんよりしていたが、奥に入れば入るほど、景色は素晴らしかった。

イミルシルまでの道のり

岩山の模様と村人たちが作った畑のコントラストが、なんとも言えず美しい。

ああ、天気が良かったら、もっと綺麗だったのかな…。

雨はますます激しくなり、空はますます暗くなる。

雨の中農作業する村人

不思議な形の岩山の前にも畑が広がっている。

農作業をする村人は雨なんか気にしていないようだ。

小さい村

合間に小さな集落が現れる。

電線は通っているようなので、電気はあるようだが、寂しそうだし、寒そうだ。

川で洗濯する村人
川で洗濯をする村人

ティネリールは暑かったが、標高が高くなるにつれて益々冷え冷えとしてきた。

途中の村
おじさん

イミルシルはアトラスの山の中、標高2600mにある秘境だという。

まだ着いてないけど、もうこの時点で秘境感満載だ。

おじさんもいい感じ。

コートは土

岩山をバックにして遊ぶ子どもたち。寒さなんてへっちゃらさ!

走ること3時間30分、イミルシルの村に着いた時には、16時30分になっていた。

雨は相変わらず降っていて、しまいには雹まで降ってくる始末。どんよりと雲は厚く、風も強くてとても寒い。

帰りのバスは何時にあるかと聞くと、7時にあるよ、と言う。

良かった、と思うも束の間で、次のおじさんの言葉に愕然とした。

明日の朝のね。

ええ”っ!

・・・・・・・。

今なんとおっしゃいました?

…乗る前におじさんにちゃんと聞いとけばよかった…。

今日中に帰りたいなら、タクシーしかないなと言われた。

イミルシルの村は、来るまでに通った村々の中では大きいほうなのか、宿があるから、泊まって明日帰れば?と言われた。その手があるかとも思ったが、その宿がどんな宿かもわからないし、ムラケンと相談した結果、私たちはタクシーで帰ることにした。

近くのおじさんがタクシーを呼んでくれて、金額の交渉をする。

400MD.

た、高い…。

そりゃ、3時間半もかかる道のりだからしょうがないっちゃ、しょうがないんだけど、…高い…。

安くしてよ、というが、タクシーの兄ちゃんもこれからティネリールまで行くのは嫌なのか、じゃ行かない、とあっさり帰ろうとする。

いやいやいや…ということで、4時間も待ってバスに乗り3時間半かけてやっとついたイミルシルだったが、400MDのタクシー代を出してトンボ帰りすることになった。

雨だし、寒いし…悲しい。

全然知らなかったが、イミルシルの村のバス停から湖まではさらに歩かなければならないとの事で、タクシーの兄ちゃんに頼んで湖に寄ってから帰ってもらうことにした。

イミルシルの湖
静寂なイミルシル

車で5分くらい走ると、見えてきた!(歩くのも無理だったかも?)

これが私たちが見たかった湖だ!

私たちに天気が同情したのか、この時だけは雨が止み風も穏やかになった。

湖は薄い緑色を讃えて、曇り空が静かさを助長させるのか、時が止まったように静寂に包まれていた。

湖を眺めていると、心がスーと透き通っていく。

雪山も見える

後ろの山は雪を被っている。

なぜか水墨画が思い出される景色だった。

この湖は恋する若い男女が親に反対されて身を投げたという伝説があるらしい。そのためか、8月末か9月末頃に「縁結びのムッセム」という大きな祭が開かれて、若いものは結婚相手を探したりするらしい。

そのお祭りの時には、この湖もカップルで埋め尽くされて、こんな静寂は微塵も感じないのかもしれない。

湖の前で舞踏

ちょっとだけ舞踏。

イミルシル 2

行くよ~と運ちゃんに促されて、湖を後にした。

時間があれば湖畔まで歩くことも出来たかもしれないが、色々あったけど、見に来て良かったな、と思った。

帰りも帰りで一悶着あり、タクシーの運ちゃんが地元民を勝手に乗せ始めて、私たちがチャーターしたのに勝手に乗せるのはどうゆうことか、と怒ったら慌てて降ろすということがあった。地元民が悲しそうに降りて行くので、いいよ、乗っていいよ、と言ったが今度は運ちゃんが頑なに乗せず、結局心が狭い観光客みたいな感じだった(笑)

帰りの道のり

また雨が降ってきた。

寒そうに固まる村人

村人は道端に座って寒そうにしている。なぜ家に入らないのか不思議だが、なにか待っているのか、井戸端会議なのか、よくわからない。

子供のほっぺたは寒さで赤くなっていた。

私たちのタクシーの前にも観光客らしき人々を乗せた車が走っていたが、小さな集落に差し掛かると、村の子供たちが車に近づいてきて、頂戴頂戴とアピールしてきた。その子供たち目がけて車の窓からお金を無造作にばっと投げた。モロッコのお金が地面にあたり、チャリンチャリンと軽い音が鳴ると、子供たちがそれに一斉に群がる姿が目に入った。

私たちの車にも幾人か来たが、私たちはこういう場合、理由がない限りあげない。

こうゆう場面に出くわした時、あげるかあげないかは個人の考え方によると思うので、どうこう言う事はないが、あまりにも無造作なあげ方に、あげるなら、もっと丁寧にあげれば良いのにと、この時は若干憤りを覚えた。

霧に包まれた渓谷

霧に覆われた渓谷は薄気味悪くもあり、魅力的だ。

岩肌

岩肌を間近でみられる所は、見れば見る程緻密な色のグラデーションになっているのが分かる。

日没

日没だ。

勿論、雲が厚いので、夕焼けなんかは見えないが、自然が夜の時間に入っていく。

夕食

ティネリールの町に着いたのは、20時30分ころだった。

このままタクシーの兄ちゃんはティネリ―ルに泊まるのか、イミルシルに引き返すのか分からないが、ここまで送ってくれたことに感謝した。

車の中をかなり温かくしてくれていたので、寒いことはなかったが、暖かいものが食べたかった。

適当に入ったレストランで夕食。

オムレツみたいな

モロッコの代表スープ、ハリラと、オムレツみたいな料理に、めちゃくちゃ甘いミントティー。

ミントティはモロッコでよく飲まれている飲み物だ。

砂糖を沢山いれて飲む。

やっぱりモロッコの料理は美味しい!

宿に帰るとユーキ君が、遅かったね、と心配していた。

あぁ、色々あったけど、帰ってこれて良かった(笑)

イミルシルに行くときは、仲間を集めてレンタカーで行くか、イミルシルに一泊プランか、高いけど往復タクシーチャーター(800MDh)が良いかもしれない。


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