絶景舞踏

旅記事389 強盗被害その後の行動


この記事は、2017年7月31日~8月中旬までの出来事をまとめたものです。

強盗に遭った直後、周りは薄ぼんやりと夜に近づいてきていて、その場に立っていたのはメガネの汚れを拭くホンダさんと膝やら肘やらを擦りむいた万琵、どこも怪我をしていないのにヘドロでドロドロで財布を取られた僕、犯人が逃げた後慌ててやってきて拳銃手に持ったまま目の前ですっころんだ警官の4人でした。

それから少しして、暗くなって不安が増す我々を補うように、警察を呼んでくれた少年や、こちらを心配して側にいてくれた見知らぬおじさん(この人が唯一英語話せた)が合流してきて、ようやく警察署に向かう段になりました。

パトカーで迎えに来るのかと思いきや、徒歩で移動です。しかもトレッシュビル方面(いわゆる貧困地域)に向かって歩いているー!

歩いている途中で白バイ(白くはなかったけど)が男を後ろに乗せて我々の前で止まり、なにか警官と話していました。僕だけかもしれないけど、犯人捕まえたのかな、この後ろの奴がそうなのかな顔全然覚えてないけど、という疑心暗鬼状態になっており、なんとなくガン飛ばしてました。結果全然違う人でした。

それはそうと夜道めちゃくちゃ不安なんですけど。黒人って闇に紛れると誇張なしで姿が見えなくなるので、どんな人が何人いるのかなど全く分からなくて、アフリカの暗がりはマジで怖いです。なんなら幽霊の方がまだよく見える。警察機構だって西アフリカでは賄賂の巣窟になってたりとか、ちゃんと機能していないっての有名な話だし。被害に遭った直後だから尚更に思っていましたが、もはや何を信じればいいのかわからない。連れていかれる所が警察署じゃなくてどっかの廃ビルだったら終わりだな、などと思っていました。

ちなみに後から知った話ですが、コートジボワール警察には「市民による密告システム」というのがあるらしく、なにかしら汚職や不正を行っている警官を見かけた場合、市民が警察に密告することでその警官の給料や罷免など待遇に直接影響させられるらしく、我々の世話をしてくれた警察官も「ちゃんとしないと密告されちゃうからね」と言っていました。

まぁ、市民が悪意をもって徒党を組んだ場合そのシステムも裏目に出そう、とかは置いておいて、第三者によるフィードバック機構があるのはなかなか信頼に足りますよね。

結局、無事にトレッシュビル警察署に到着することができました。

そこで行われたのはいわゆる事情聴取です。

英語を話せるおじさんが説明してくれながら、犯行状況や被害状況などを伝えていきます。この内容が後日ポリスレポートとして我々の手に渡り、海外旅行保険の請求に使用したり、パスポート再発行に使用したりする書類になります。

なかなか細かく訊かれます。実害としては僕の財布に入っていた現金やカード、パスポート、黄熱病の予防接種証明になるイエローカードと、万琵のカバンの肩掛け紐がちぎれたことや、我々の負った小さい怪我くらいですが、全部ポリスレポートに記載されていました。

ちなみに僕の財布に入っていた現金は日本円と米ドルで250ドル分くらい。ほとんどを万琵に渡していたカードで支払っていたため、財布に何が入っていたかなど、被害時点ですらあまり覚えていませんでしたけど。現金がそのまま西アフリカCFAに両替できたとすれば、14万セーファくらい。安い食堂に行くと280回食事ができます。犯人にしてみれば相当なお小遣いになったよなぁ。

被害を痛い順に並べると、パスポート、その再発行に要する時間と労力(現場および帰国後の保険手続き含む)、事件の精神的ダメージ、イエローカード、現金、怪我、クレジットカード、てところかな。クレカは実際使っていなかった予備分だし、すぐに電話して無効化してもらったので実害ほぼなし。

警察の聴取の後、パトカーで大きな病院まで運んでくれました。救急搬送扱いで正規の受付を経ずに裏口から入ったためすぐに処置の順番がやってきました。予想外にスムーズに病院が動いてくれたので慌てて保険会社に電話をし、当社のフランス語対応できる人にお願いして病院にキャッシュレスの交渉をしてもらいました。

やっぱり日本の会社は仕事早いなーと感心。これ当たり前じゃなくって有難いと思わなくちゃね。なんでもそうですよ、駅でもコンビニでもファミレスでも、基本迅速にちゃんとしてくれる。これは当たり前ではありません。

保険と病院のお金の話は問題なく済んだようで、我々が病院でお金を払う必要はなくなりました。そして今後通院する際にも請求は保険会社に行くので、ひとつ不安材料が解消されました。まぁ、薬局で買う薬代や通院交通費は帰国後に自分で請求しますが。

病院にて

病院のベッドで横になる万琵。赤いのは赤チンです。血ではありません。小動物のように怯えて固まっていました。まぁそうだよね、僕も偉そうには言えないけども、万琵が最初に襲われたワケだし。破傷風の予防接種打っておいたからそういう類の心配はありませんでしたが。万琵の心情を察したのか、病院の先生はとりわけ万琵に優しく接してくれました。ありがたいね。

そしてひ弱に見えたのでしょう、僕にも優しくしてくれましたが、残念なことに僕はかすり傷ひとつ負っていませんでした。

そして一番がっしりして見えたのか、ホンダさんは「あんたはいいわ、ツバつけときゃ治る」みたいなことを言われていました。ホンダさん、さっき腹にナイフ刺さってましたけど!せめて赤チン塗ったげて!

病院での処置も終わり、けっこう遅くなってしまったのでパトカーは一旦帰り、我々は病院で夜を明かして翌朝に再びパトカーで宿に戻りました。英語を話せるおじさんは前夜まで病院の外で待っていてくれて、なんかあったらここに連絡してくれとケータイ番号もくれました。あなたなんて親切なんだ。かたやボロ宿にパトカーで戻ったジャポネーズたちを見て周囲の人々が「お前ら警察と知り合いなんかぁ、なんかあったらよろしくな」みたいなことを言ってきたのでその時の気分はお察しください。

さて次なる行動は、パスポート再発行の申請と、トレッシュビルからの脱出でした。

宿に戻ってすぐに警察署にポリスレポートを取りに行き(この時にも昨日のおじさん来てくれたらしい)、その足で日本大使館に向かいました。

日本大使館でまず「ガーナ大使館への紹介状」を受け取りました。・・・!!完全に頭から抜けてた。次ガーナに行こうとしてたそういえば。万琵と僕は話し合い、ガーナ行きは取りやめにしましたが、ホンダさんはガーナ大使館に足しげく通い、ガーナビザを取得することが出来たようです。余談ですがガーナではいい思い出がないらしく1週間ほどでコートジボワールに戻ったそうです。コートジボワールにもいい思い出ないけどね!

パスポート再発行申請をするにあたり、一番大変なのは書類を集めること。

本来の手続き上では申請書、顔写真、戸籍謄抄本(コピー不可)が必要なため、日本で代理人に取得してもらった(万琵の両親に頼みました)戸籍抄本をアビジャンまで郵送し、それが到達してからパスポート再発行に着手する、という流れになります。パスポートを発行出来る機械は主要な国にしかなく(当然コートジには無い)書類の郵送はDHLやFedexに頼んで最速でも2週間ほどかかるため、新しいパスポートが手に入るのにおよそ1か月掛かることになります。ちなみに普通郵便で送ると先ず到着のタイミングは予測できません(紛失のおそれも多分にあり)。

ホンダさんが最短でパスポートの再発行をする方法を教えてくれました。一番時間のかかる郵送と発行作業を被らせることで、戸籍抄本が大使館に到達するのと同時にパスポートを受け取れます。

その方法は、日本で取得してもらった戸籍抄本をコートジボワールの日本大使館にFAXで送信してもらい、その内容ベースで原本が後から到着することを見越してパスポートの発行作業に入ってもらうというものでした。

大使館の方もこの方法を教えてくれましたが、本来イレギュラーな方法なので、遠隔地であるということや犯罪被害という事情を考慮しての判断だと思われます。どこでもこの方法が可能とは限りませんのであしからず。

ちなみに、即行で帰国したい人には現地で発行できる帰国用パスというのもあります。我々は旅を続けますけどね。

顔写真は日本で撮っても西アフリカで撮っても変わらず物騒な表情になってしまうようです(笑)

ココディ地区の宿

そしてここが新しく選んだ宿「Cocody Guesthouse Galerie」。一泊3,000円(15,000セーファ)、それまでのホテルサクセスと比べると3倍ほどの値段ですが、ココディ地区という高級住宅地に立地していることやその地区の入り口にゲートがあって不審者を寄せ付けない構造になっていたので、ここがベストかなと。元々もう少し高めの家賃でしたが長期滞在割引をお願いしました。パスポート再発行手続きに要するための滞在費も上限は低めですが保険で降りるのでなんとかここでやっていきましょう。そしてここからの移動は完全にタクシーになります。外歩くの嫌だし。

DHL荷物追跡情報

戸籍抄本をDHLで送ってもらうと、サイト上で配送物の行方を追うことが出来ます。これは途中の写真ですが、かなり細かく履歴が分かるので助かります。配送指定住所を宿の住所にするとDHLオフィスから宿までの配送で1、2日かかりそうだったので、DHLオフィスを配送先に指定し、オフィスへの到着がサイトで確認でき次第取りに向かう方法をとりました。

そして約2週間後、到着した戸籍抄本の原本とパスポートを交換するかたちで新しいパスポートを受け取ることが出来ました。

パスポート領収書

この再発行費用も帰国後に保険申請しました。再発行手数料はだいたい17,000円。

今まで訪れた国の出入国スタンプが無くなってしまいましたが、仕方ありません。

さて、これでコートジボワールを脱出することが出来るようになりました。次の記事は、再発行までの間、どんな生活をしていたか書いていきます。


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この時滞在していた宿はコチラ⇒Cocody Guesthouse Galerie