乗り継ぎ地点のクアラルンプールには、朝の4時に着いた。
トランジットまでは6時間も待ち時間があった。椅子はいたるところにあったけれど、固く、目の前は人がどんどん通っていくので、ゆっくり休むことはできなさそうだった。
プライオリティパスで、またラウンジのお世話になった。こぢんまりしていたが、ゆっくり座れる場所が確保でき、Wi-Fiも速かったので、ムラケンは動画のアップがサクサク出来ていて嬉しそうだった。
チキンのお粥があって、お粥が大好きな私はテンションが上がった。
ちなみに、クアラルンプールにはラウンジが4つくらいあって、場所によって設備も変わるみたいだ。
もっと良いラウンジがありそう。
東南アジアに入ったなぁという実感をまず得たのは、トイレの変化だ。
ティッシュペーパー以外にハンドノズルシャワーがついていて、床がびしょびしょに濡れていて汚かった。
東南アジアでは、ペーパーを使わず、シャワーで洗い流す方法をとるらしい。
私も使ってみようかと思ったが、どう使えばよいかわからず断念した。
便座の上に上がって使ってしまう人も多いらしく、割れてしまうため、便座がないトイレもいくつかあった。こうゆう場合は中腰で使うしかない。
嫌な予感がした。
勿論、人々の顔の造作も変わった。言葉も変わった。ヒジャブ(スカーフで頭髪を隠す)を着用している女性が増えた。床に座り込む人も増えた。匂いも汗臭いのに変わった。
乗り継ぎ便は時刻通りに出発し、私たちは無事にセブ島に降り立った。
ニュージランドと日本の時差は、日本の方が3時間遅れていて、フィリピンと日本の時差は、日本のほうが1時間進んでいる。結果、ニュージランドとフィリピンは、フィリピンが4時間遅れていることになる。
乗り継ぎをするたびに少しずつ、時間を巻き戻した。頭がこんがらがった。
やっと着いた!!
心配していた預け荷物も無事に届き、ホッとした。
セブ空港は、空港にも関わらずエアコンはあまり効いていなくて、ムハっとした熱気が漂い、暗かった。
私のセブ島のイメージは、リゾート地だった。旅の途中で出遭った人に、次はセブに行くというと、行ったことがある人は必ず、いいねー!また行きたいなあ!と言っていた。
ガイドブックでの下調べでは、治安面が少し気になっていたが、リゾート地というイメージにウキウキだった。物価も安いみたいだし、ゆっくりしようと、期間も長めにとった。
空港の到着ロビーを出ると、先ずSIMを売る人に捕まった。
お兄さん、SIM!!SIM!!
お姉さん、安いよ!!
なまりの利いた日本語で、威勢よく近づいてきた。
あぁ、こうゆうの、っっっぽい!
ちなみにホテルでは、SIMの速度よりはWi-Fiの速度の方が早かった。Wi-Fiもそう早くはないが、セブ島だけだったり、良いホテルに泊まるならば、SIMカードは必要ないかもしれない。
私達は、セブ島だけでなく、他の島も周る予定があったので、15日使い放題600ペソと7日間250ペソのものを購入。
市内までは電車やバスがないので必然的にタクシーになった。
タクシーは、黄色タクシーと白タクシー、得体のしれないタクシーがあった。
黄色タクシーは初乗りが70ペソ、白タクシーは40ペソ。黄色と白タクシー乗り場は、空港を出てから右に進むとある。乗り場は、得体のしれないタクシーをかいくぐった奥の方にあるので、とにかくその乗り場に着くまでは、得体のしれないタクシーのしつこい呼びかけは完全無視で、ずんずん進むのが良い。
ガイドブックでは割高の黄色タクシーを勧めていたが、実際行ってみると、白タクシーの方に全員が並んでいて、黄色タクシーには誰一人並んでいなかった。
ええっと思いながら、でも黄色が良いって書いてあったしなあ・・とムラケンと相談していると、黄色の運ちゃんが近寄ってきた。
その方は、申し訳ないが、人相が良いとは言えず、無理やり作った笑顔がなんともねちっこい感じで、歯もかけていた。
怖い
黄色と白の人相判断を勝手にして、結局どっちっも変わらないことに結論づいた私たちは、だったら安い白タクシーで行こうということになった。
乗る前に案内係の方がいて、紙にタクシーナンバーを書いたものをくれた。これは、タクシーの運ちゃんには渡さず、自分でもっておく。これによってトラブルの抑止力にもなるし、何かあったときに、この車に乗ったという証拠になる。
セブのタクシーでは、今はメーター制になっているが、メーターを使わない運ちゃんも多かった。特に夜や、帰りに違うお客さんを捕まえにくい場所に行く場合は、交渉になった。お客さんが多く並んでいるときなんかは、運ちゃんの言う値を、高い!と言うと乗せてくれない強気なタクシーもあった。流しのタクシーではなく、ホテルの前や、大きなショッピングモールから乗る方が安全かなと思って、私たちは出来る限り、ホテルに呼んでもらったりして、タクシーを使った。
GRABタクシーというものもあって、ネットで登録してからの利用になるが、アプリで自分のいる場所の近くにいるタクシーを見つけて呼ぶことが出来る、といった仕組みのものもある。これも、割高にはなるが、事前に料金がはっきりするし、トラブルを回避できるという面では安心がもてるだろう。私たちも登録はしたものの、使いたいときに周りにタクシー自体がいなくて、結局一度も使わなかった。
空港からセブシティまでの、初めてのタクシー利用の私たちは、アホにも、黙って乗っていればメーターになったはずなのに、市内までいくら?と聞いてしまったことから、空港から市内まで500ペソだ!と早くも吹っ掛けられ、250ペソで交渉が済んだ。実際メーターだったら200ペソもかからなかっただろう。一度交渉になると、絶対メーターは使ってくれない。いくら?は絶対言ってはいけない。
昼間だった時は、交渉になってしまった場合、多くは倍以上の値段を言ってくるはずなので、大体半額には簡単になった。また、行きづらい場所の場合、メータープラス50ペソでと言われた。
交渉で相場より安くなった場合でも、到着した時に、運ちゃんがにやにやしながら、チップをねだってくることもあった。
窓から見える景色は綺麗とは言いがたかった。
家も崩れかけていたり、道はでこぼこしていて、歩きにくそうだった。勿論ごみも散乱していた。
沢山の子供たちの姿。道に寝そべる大人。小さな商店には、格子があった。
リ・・・ゾート??
20分程で予約していたホテルに到着。途中、路地裏みたいなとこを通って、変なところに連れていかれたらどうしよう!とビクビクした。
ホテルは、コスパがとても良いらしいキャッスルピークホテル、というところだった。
フィリピンの安宿は、清潔でないのは普通で、水しか出なかったり、そもそもシャワーがなく、バケツに水を貯めて浴びるといった場所もあるらしい。(探せば、安宿でも、良いとこがあるのかもしれないが)
キャッスルピークホテルは3つ星の中級ホテルといったところだろうか。一泊1500ペソくらい。
ただここも、部屋がほこり臭く、水が漏れたり、チョウバエが殺しても殺しても出て来たり・・・
綺麗なニュージーランドからのギャップが大きくて、免疫が出来ていなかった私は、この状況だけで、気が滅入ってきていた。
全然リゾートじゃないじゃん!!
それでも、トイレの水はスムーズに流れるし、シャワーはすぐに温かくなり、水圧も申し分なかった。スタッフの方々も良い方が多かった。
外にでると、フィリピンの日没は早く、18時には既に暗くなっていた。
ホテルの隣のコンビニに行くと、この日帰国するという日本人留学生がいて、この辺の治安面を聞いてみた。
悪い方ではないが、夜の徒歩はあまりしない方が良いとのことだった。
取り敢えずこの日は、ホテルにあるレストランで、フィリピンのビール、サンミゲルで乾杯。
うまい!
フィリピン料理ではないミックスグリルを食す。
次の日、朝起きるとゴキブリがベットの下に走っていくのを目撃してしまった私は、もうこの部屋いやだ!と叫んで、部屋を変えてもらった。
結局、変えてもらった部屋でも、チョウバエを殺生することは、ムラケンの日課になってしまったんだけど・・・。
やばい、セブ島。
先が思いやられる・・・