フィリピンの洗礼を受け、ビビりきってしまった我々を突き動かしたのは、空腹でした(笑)
キャッスルピークホテルの周りにはトリップアドバイザーとかに載っている有名なレストランが結構あります。いい肉を仕入れる焼肉店とか、味が本格的な日本料理店とか、徒歩5分圏内にそういうのがあります。意を決してホテルの外に出ます。
出口にはガードマンがいて、笑顔でもってドアを開けてくれます。センキューといいつつおもむろに彼の腰に目をやると、け拳銃!やっぱそういう国なんだね。
外に出ての第一声
「あちい!」
「くっせぇ!」
すいません、二声出てしまいました。
どこから来るのか、この匂い。何かの腐敗臭のような、誰かの体臭のような、ケモノ臭のような・・・大量の排気ガスに溶け込んで、酸素とともに肺に入って脳と心を蝕みます。それに耐えつつ、焼肉店や日本料理店を見に行きます。
歩道は基本、高さが一定ではありません。
石畳が整然としていることはまずありません。
ゴミが浮いていない下水道はありません。蓋がキッチリはまっていることも珍しいです。
途中の路地を覗くと、崩れかけた窓のない家、地べたに座り込む子供、そんなのが目に入ってきます。
建物の塀の上にはガラスの鋭い破片を接着剤で満遍なく固定し、その上に有刺鉄線が張り巡らされています。侵入防止ついでに大ケガさせるつもりです。
多くが一日2ドル以下で生活する人々の、その紙一重の場所に高級ホテルがあったりします。そんなのが共存する街、セブ。ガードマンの拳銃は誰に向けられるのかな。
もやもやとした気持ちを感じながら、店を発見しました。
評判がいい、いい質である、ということは、高いということなんですね。何となく感づいてはいました。なので、やめときました。質のいいものを食べたいけど高い金は払いたくない、矛盾した欲求ですね(笑)
もう少し先に行けばこれまた評判のいいパン屋があるとのことでパン屋まで頑張ろう、と先へ歩く我々は、犬に行く手を阻まれました。
フィリピンの犬は基本繋がれていません。飼い犬なのか野良なのか。どっちにしたってその犬は狂犬病のワクチンなんか打ってないんだろうけど―ちなみに、狂犬病は、人間がワクチンを打っていても、感染したらその後はワクチン漬けになります―。
徒歩10分の距離で既に挫折・・・
ホテルの食事はフィリピンの割には高いのでそう何度も利用するわけにもいかず、安いところを目指してショッピングモールのフードコートに(車で)向かうことにしました。
目指すモールは「SM(シューマート)モール」。セブの代表的な観光地です。
フィリピンの移動手段は主にタクシーですが、他にももちろんあります。ジプニーという乗り合いバスで、地元の人は寧ろこちらを使います。名前の由来はアメリカ軍が置いていったジープを改造して使っているからだそうです。
バスといってもバス停はなく、行き先が車に書いてあるので手を挙げて停め、後ろの荷台にシートが付いていてそこから運転手か前側に座っている人に10ペソくらいの料金を渡します。適当なところで天井をガンガン叩いて停めてもらい、降りるという流れ。降りたか降りないかの微妙なタイミングで再び走り出すので、スーツケースとか持って乗ると、荷物を下ろす前に走り出してしまう可能性もあります。
ジプニーは地元に馴染んでいるというだけあって、とっても安いです。もしかするとタクシーの7、8分の1くらいで済むかも。
キャッスルピークホテル前の通りでも、ひっきりなしにジプニーが通っていましたが、セブではジプニーを使いませんでした。だって怖いんだもん。事前情報で、ジプニーに乗っている人(乗客含め)全員がグルになって、乗ってきた金持ってそうな観光客を脅して身ぐるみ剥がしてしまう事件があったそうです。
そんなんに乗るか~!
ということで、再びホテルに帰ってガードマンにタクシーを捕まえてもらいます。ホテルスタッフに捕まえてもらうタクシーは、比較的安全です。
タクシーに乗っての第一声は、勿論行き先ですが、その次にすかさず「メーター使ってね!」です。
その後は大体ドライバーによる「フィリピンは初めてか?」「日本人か?俺は日本に友達がいる」「一日1,000ペソでセブ島案内してやるよ、ケータイ番号教えるから連絡してよ」です。あわよくばそのまま遠出しちゃおうという考えです。
それには笑って「ノーセンキュー」と強めに言いましょう。気持ちが荒ぶれば、「静かに真っ直ぐ目的地に行け」と言えば、割と静かにしてくれます。
彼らも生活のためなんでしょうけど、「持っている者は持たざる者に恵むのが当然」という教えがどこで捻じ曲がって飛躍したのか、「持たざる者は持っている者から貰って当然、ひいては騙したり奪ったりしても(神様に)許される」という考えに至っているようです。法律上ダメってことは知っているらしいのですが。
さあ、SMモールに到着しました!
ここにも警備員がいます。バッグの中とかを見せて、中に入ります。
外の世界とは、まるで違います。どことなくみんな笑顔でブランドの紙袋とストローのささったドリンクを持っています。
ただ、どことなくこういうセンスです。
フードコートはこんな感じのものを選びました。
万琵は生野菜が手に入らず悶々としていました。我々は野菜そのものにも、洗う水にも警戒しています。スプーンやフォークは、必ず一度自分が用意したウェットティッシュで拭きます。
世界で我々の味方をしてくれる、スーパーマーケットも、一角で強烈なアンモニアの匂いをさせて牙を剥いてきます。そして、食指も凍り付く色素たち。
飲み物には、夜に光る機能はいらんて。
Oishiの、、、。このパッケージには見覚えが。いいのか?
最終的には、これが万琵の主食になっておりました(笑)
ホテルに帰る時のタクシーは、一言も話しかけられず、フィリピンで初めて静かにタクシーに乗れました。感激!