この記事は2017年4月23~24日の出来事です。
ティネリールからどこに行くか決めてなかった私たちはアイトベンハッドゥという所に行くことにした。
アイトベンハッドゥは、まずワルザザードまで行って、そこから西に33Kmの所にある。ワルザザードまではティネリールからバスが多く通っている。
バスターミナルに行けば何かしらのバスに乗れるだろうと、チェックアウト時間まで宿でゆっくりして、そこからグランタクシーでバスターミナルに向かった。
バスターミナルまでは一人3MDh。
ワルザザード以外のバススケジュールはこんな感じ。参考までに。
バスターミナルに行き、観光客がよく使うであろうスープラトゥ―ルのオフィスに行くと、すぐに出るバスはないと言われた。
あれ?12時半のバスがあると思っていたんだけどなぁと思いつつウロウロしていると、すぐに違うオフィスの兄ちゃんが声を掛けてきた。
13時に出るバスがあるという。料金は一人40Dhと荷物代が一人5Dh.
ローカルバスなので安めだが、観光客がよく使うバスとは質が変わり、クーラーもないので暑く、座席も快適ではなかった。
ワルザザードまでは3時間。ほぼ時刻通り出発して16時にはワルザザードのバスターミナルに着いた。
私たちはここからタクシーでアイトベンハッドゥまで移動する。アイトベンハッドゥまで行く安い行き方として、ガイドブックにはマラケシュ行の民営バスに乗って、Oued Maleh で降り、そこからグランタクシーに乗っていく、という地元の人が使う行き方が書いてあったが民営バスがどこから出ているのかも分からず、グランタクシーが本当に途中下車した所にいるのかも不明で、イミルシルの時のように長いこと待つのは嫌だったので、タクシーで行くことにした。
時間はタダではない。
ユーキ君はワルザザードの宿に泊まると言う事で、彼とはここでお別れ。
知り合ってから一週間も経っていなかったが、なんだかすごく長いこと一緒に居た気持ちだった。
ちなみにワルザザードではアイトベンハッドゥまでのツアーが沢山催行されている。
ツアーは往復送迎で一人300Dh程度。アイトベンハッドゥでの自由時間がどのくらいか分からないが、宿で知り合った人たちと行ったりしても良いと思うし、宿自体もアイトベンハッドゥよりワルザザードの宿の方が安いので、ワルザザードに泊まるのも良いと思う。
ユーキ君と別れ、ワルザザードから目星をつけていた宿まで向かう。タクシーで30分弱、130Dhで行ってくれた。
宿はAuberge restaurant Tombouctouという所。
アイトベンハッドゥの中心からは離れているが、30分歩けば着く。この宿の前から中心までの地元民が使うミニバスも走っているのだが、何時に来るか不定期だし、あまり頻繁には走っていないので、歩いた方が良いと思う。
30分歩く事が長く感じる人もいるかもしれないが、景色が良いので全く苦にならない距離だ。
中に入るとおばちゃん(こっちの人は年が上に見えがちだから、実は若いかも)とおばちゃんのお父さんが迎えてくれた。
予約していないが泊まれるか、と英語で聞いたが、おばちゃんもお父さんも英語が全く分からなかった。私たちはアラビア語が話せるワケないので、グーグル先生にお世話になりながら、カタコトもカタコトのフランス語で話してみた。
モロッコの人はアラビア語の他に、英語よりもフランス語を理解する。
グーグル先生のフランス語もヘンテコらしく、おばちゃんもフランス語がイマイチなのもあって、ちっとも会話が成り立たない私たちはニコニコ笑顔を交わすしかなかった(笑)
結局英語が話せる人に電話してもらい、その人を介して会話をした。
一日朝食付きで200Dh。私たちの他に宿泊者はいなくて、部屋は選びたい放題。おばちゃんが一番広い部屋を提供してくれた。
宿のおばちゃんはハリジャという名前。言葉が分からないながらも沢山話しかけてきてくれる優しい人。
荷物を置いて早速中心の方まで歩いていってみることに。
周りには畑が沢山あって、のんびりしていてとっても落ち着く。
この辺りの道路は、綺麗に整備されているので、とても歩きやすい。
橋の向こうがアイトベンハッドゥ村だ。小川を挟んだ反対側には観光地らしくレストランや商店、ホテルなどがある。今はアイトベンハッドゥ村に住んでいるベルベル人は5~6家族だけで、その他の人々は小川をはさんだ新しい村に移り住んでいるようだ。
私が中心と言っているのは、小川を挟んである、レストランやホテルが集まった新しい村を意味している。橋は2010年に出来たらしい。
アイトベンハッドゥの観光は明日じっくりするとして、お腹が空いていたので、その辺のレストランで昼食兼夕食。
このレストランはユーロ表記だった。それだけアイトベンハッドゥにヨーロッパの人が来ているということだな。
モロッコではデーツが安くて美味しい。お通しみたいな感じで料理に付いてくることも多い。
顔がしゅっとしている割に毛はもしゃもしゃしている猫。
ベルベル人の人に話しかけられて、談笑しながら一緒に写真をぱしゃり。
いや~この人のターバンも相変わらず大きい。
そういえば気になっていた外に貼られてあったポスター。
このことを彼に聞くと、これは音楽のお祭りで、村から村、町から町を移動して開かれているらしい。すごく興味があったので、アイトベンハッドゥでもやるの?と聞いたら、なんと一昨日終わってしまったばかり、という。
アイトベンハッドゥ村の頂上の広場で盛大に行われたらしいのだ。
モロッコだけではなく、アフリカ各所からミュージシャンが集まるらしく、素晴らしい音楽で溢れるようだ。
あ~~おしい!すっごい見たかった~~!
次の日の朝食。外で食べるのが、気持ちが良い。
大きな丸いパンが、テンション上がる。色んな種類のジャムがあって美味しい。
宿のおばちゃんハリジャは、近くに座りながら、コーランを流している。これを聞くと落ち着くという。裏庭には畑とブランコがあって平和な空気が流れていた。
洗濯を頼むと30Dhでハリジャが洗ってくれて、この裏庭に干すことが出来る。
ハタハタと風になびく服は乾燥した空気で、すぐに乾いてしまう。
ハリジャがおもむろに持ってきてくれた、ベルベル語の教科書。
ここではアラビア語、フランス語と共に、ベルベル語も勉強するらしい。
な、なんだこの字は…。当たり前だけど、全く読めん。
ベルベル語といっても、地方でも言葉は変わってくる。
例えば「ありがとう」という言葉、サハラ砂漠地方では「サハー」、アイトベンハッドゥでは「ターヌメルトゥ」、アガディール地方では「ティーメンスィーウット」という。
む、難しい…。
ちなみに発音も難解極まる。
世界を旅して、色んな国に行くと、言語の多さに唖然とする。ハリジャにとっては日本語はただの記号にしか見えなくて、私にとってはベルベル語がそうなって、なんだかとっても不思議な気分になるのだ。
言葉が違えば、パン一つにしても、感じることが違うのかもしれない。
自分の幅を広げるためにも、物事の理解を深くするためにも、他の言語を学ぶという事は大切なことだと改めて思う。
朝食が終わると、ハリジャが自分で作った品々を見せてくれた。これはいらなくなったボロ布を再利用したマット。部屋にも沢山可愛い布があり、ハリジャが全部作ったらしい。
凄いね!というと、嬉しそうに顔をほころばせた。
褒められて嬉しかったのか、次々に作った品々を見せてくれた。
カラフルで、どれもとても可愛かった。
こういった感じで作るらしい。
こちらも何か見せられるものはないかと思い、携帯に入っていた私とムラケンの着物姿の写真を見せた。
テンションが上がったハリジャは、モロッコ式の鉄カスタネット、カルカバを持ってきて踊り出した(笑)
ひとしきり踊り終えると、ニコニコと私を自分の部屋へと連れて行った。
ハリジャの部屋には作りかけの物やら、布の切れ端やらがてんでに散らかっていたが、箪笥を開くと更に服が沢山詰め込まれていた。
服はどれも、ぐしゃぐしゃっと詰め込まれているのが、非常に気になったが(笑)、「ブコ、ブコ(沢山という意味)」と言いながら、パーティの時用と思われる綺麗めな服を次々と出してきて見せてくれた。
そして、私にひとつ服を貸してくれて、一緒におめかししてムラケンを驚かせよう!と言う。
なんて、可愛いらしい人だ。
ハリジャは一番のお気に入りと思われる綺麗な紫いろのドレスにルンルンで着替えだし、頭に巻いているスカーフを取りながら、これは外では取っちゃダメなの、とはにかみながら私に説明した。
イスラム圏の女性のトイレでは、よくスカーフを巻きなおしている人を見かけるが、いろんな髪型をしていて面白かったりする。ベールに包まれたスカーフの中を見るときは、女性同士なのにドキドキする。
ハリジャは短髪のもじゃもじゃ頭だった(笑)
二人とも着替えて、タッタラ~~みたいな感じでムラケンの前に登場。
「おおお!!」とムラケンの好リアクションに、ハリジャは少女のように有頂天になり、とても嬉しそうだった。
外に出て写真を何枚か撮った。
ハリジャは終始恥ずかしそうで、ソワソワしていた。
私は、ジブリの風の谷のナウシカになった気分がした(笑)
イスラム教徒は写真を好まない人もいるが、撮った写真をハリジャに見せると、恥ずかしそうだったが、満面の笑みで喜んでくれた。
モロッコの若い子たちはバシバシ携帯で撮っているのかもしれないが、アイトベンハッドゥは観光地であっても、田舎は田舎だと思うし、ハリジャは写真を滅多に撮らないようだ。
私は、男性におめかしした自分を見せるということでテンション上がったのは何十年前だろうか、と思うと、横でキャピキャピしているハリジャが愛らしくてたまらなかった。
とても楽しい思い出が出来た。
さぁて、アイトベンハッドゥ村に観光しに行くか!
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ブログより1年早い?インスタグラムはこちら。zekkeibutoh
この時滞在していた宿はコチラ⇒Auberge Restaurant Tombouctou