絶景舞踏

旅記事363 セネガル(ガンビアも)を終えて


日程:2017年5月7日~2017年5月31日(滞在日数25日)

モロッコからセネガルへの移動時間:カサブランカからダカールまで飛行機を利用。途中、マドリッドで約7時間のトランジットがあったため実際に掛かった移動時間は12時間半。ちなみにマドリッドからダカールの飛行時間は約3時間半。

訪問した都市(宿泊施設):ダカール(和心)、ガンビア・バカウ(Mama’s)

万琵が踊った場所:和心の屋上

ダカール舞踏2

<セネガルの感想>

西アフリカという地域に最初に足を踏み入れた国はモロッコだったが、西アフリカらしさを感じさせたのはセネガルが最初だった。

明らかに増える黒人の比率(モロッコはほぼアラブ系に対してセネガルはほぼ100%黒人)、不安定なインフラ設備、英語の通じなさ加減、食文化の顕著な相違、モロッコとは大きく異なってきた。

セネガル以降、我々はベナン、トーゴ、ブルキナファソ、コートジボワールの4カ国を訪れるのだが、それら4国はやはり、モロッコよりもセネガルに近い環境だったので、西アフリカのスタート地点はセネガルであったと考えた方が自然な感じがする。

セネガルに入って、これまでの旅には無かった驚きの連続だった。

出入国時に賄賂を請求されるとか、シャワーのお湯が出ないこととか、路上で売っている魚に群がるハエが魚を覆い尽くすほどの数だとか、ごみは大体側溝に捨ててあるとか、外の食堂が看板も無い掘っ立て小屋であるとか、そこの食事もただのぶっかけ飯であるとか、島に渡るボートは乗ってるそばから沈んできたりとか、長距離移動のワゴン車の乗車率が200%だとか(一人あたり0,5席のうえ殆どの乗客が太っている)、病院内でマラリア蚊が大量に飛んでいて逆に不安になるとか・・・

我々のような温室旅行者にとってはショッキングな出来事が沢山あった。

(ちなみにスリに遭ったこともショッキングではあったが、スリ未遂にはハノイでも遭っていたので、そういう犯罪はどの国にいても起こることだと認識している。)

しかし数日もいると、これはこれで成り立っているような気もしてくる。こういうものこそが西アフリカなんだと思ってしまえば、ファジーすぎるこの世界にも足をつけることが出来る。

シャワーのお湯が出ないのだって、暑い日中に浴びてしまえば水がむしろ気持ちいいし、路上の魚には手を出さなければいいし、ゴミは多いけれど、バンコクで見た色鮮やかなゴミの川よりはマシだし、食堂も場所を覚えれば看板なんて要らないし、ぶっかけ飯は意外に美味しいし(魚はきちんと新鮮なものを市場から仕入れている)、沈みゆくボートも沈没前に目的地に辿り着けたし、長距離移動車はもう少しお金出せば一人一席用意できるし、強力な虫除け持っているし、

ファジーなものはこちらも柔軟になって受け取ることが出来れば、大抵解決する。

そうすることで、そこで生きている人々の顔も見えてくるようになった。

食堂のおばちゃんは顔を覚えてくれてちょっと大盛にしてくれ、小さい子を養いながら店を切り盛りする姿を尊敬できる。テイクアウト出来ないかと訊くと食器をそのまま貸してくれて、後で返してくれればいいからと優しい。

路上で揚げ物屋台を出しているおばちゃんには、写真を撮らせてと頼むと照れながらも応じてくれるし、揚げたての芋は素朴で美味しい。

和心にいたセネガル人スタッフはみな真面目で明るく、中には物理の(物理を勉強していない僕にはさっぱり意味不明な)方程式を解いている人もいた。

上下セットアップになっている地元民の服は派手で、黒い肌にとてもよく似合っていてお洒落だし、ダカール大学の学生は一様に勤勉な顔つきをしていて身なりもしゃんとしていた。

ガンビアで病院に連れて行ってくれたタクシードライバーは最後まで我々を心配してくれて、代金も要らないと言ってくれた。その時は誰よりも一緒にいた万琵に迷惑を掛けてしまったし、ひどく心配させてしまってすまないと思う。

社会システムは非常に曖昧だけれど、そこに生きる人々は強く優しく生きている、そんな印象だった。

また、そんなセネガルでレストラン兼ホステルを経営する原田さん一家をはじめ、そこのスタッフの方々には、何から何まで大変お世話になった。さらにその宿に滞在していた日本人の人々のバイタリティーの高さにも(さすが西アフリカに単独でやってくるだけのことはある)驚き、とても刺激になった。

あとで知ったことなのだが、そんなセネガルは西アフリカにおいて、随一の優秀でちゃんとした国なのだそうだ。

セネガル以降の郷土料理は基本的にぶっかけ飯になるのだが、セネガルの料理が一番手間がかかっていて美味しい。(というと語弊が出るのだが・・他のがあまりにもイマイチなのが多いので)

ここから先の話は人から聞いたことで、裏を取れたものではないので事実かどうかは分からないのだが、フランス軍が外国人部隊を採用する際、支配国である西アフリカ諸国から募る時に、軍人として役に立つ部隊がセネガル部隊だけだったという。

今のセネガル軍(多分警察)の持っているライフルは錆びていて使えるようには見えないのだが、それは平和であるがゆえに使う機会がないのだろうと都合よく解釈するとして、

セネガル以降の西アフリカはどんな刺激が待ち受けているのか、楽しみだ。

ダカールの果物屋

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