この日は夜行バスでインレー湖まで行くことになっています。インレー湖では日本にいるときに知り合った友達と落ち合うことになっています。なにをかくそう彼らもまた夫婦で世界一周旅行をしているのです。どんな旅をしているのか、話を聞くのが楽しみですね。
ともあれ、バスが出るのは夜なのでそれまでちょっと時間が余っています。
夜行バスが出発する場所は「アウンミンガラーバスセンター」というところで、ヤンゴン空港の近くにあります。そこまでの移動手段を確保すべく、前日にこんなことをしていました。
我々がバスのチケットを購入した時に聞いたところ、アウンミンガラーバスセンターまではタクシーで行けとのことでした。
てことは、最低でも1万チャットは掛かるということか。。高いな。ということで、ヤンゴンのバス会社が集まっている駅北の方に望みをかけることにしました。
他のバス会社のピックアップバスに便乗しよう作戦です。
そこに行ってみると、バス会社というよりは運送会社の集まりのような雰囲気でしたが、長距離バスのチケットも扱っていました。
「インレー湖までのマンダラ―ミンのバスのチケットは持ってるんだけど、アウンミンガラーバスセンターまでのピックアップがないから、そこまでのピックアップだけ買えない?」
「いいよ。1,000チャットだよ。何時のに乗るの?」
「明日の夜。」「じゃあ明日来てくれ。14時半がいいよ。」
やったぜタクシーの10分の1に抑えた!
・・・これが、前日の話。
・・・というわけで、駅北のバス発着場まで14時くらいまでに行けばいいのでそれまでちょっと時間を潰しましょう。
アウンミンガラーバスセンターにはちょっと早く到着することになりそうですが、大きなバスターミナルだから、なんらか時間を潰す手段はあるでしょう。それにあまりギリギリに行こうとすると道路状況次第では間に合わないおそれもありますし。
チェックアウトしてスーツケースを宿に預かってもらい、ヤンゴン駅近くにある「ボーヂョーアウンサンマーケット」に行ってみます。
ボーヂョーアウンサンマーケットは、ヤンゴン最大の市場で、日用品や工芸品、ロンジーなどの衣類や宝石などを扱っています。もちろん例のタナカも加工してパウダー状にしてあるものやタナカの原木そのままで売っているところもあります。
ひろーい。この建物自体は1926年のイギリス植民地時代に建てられたものを使っているそうです。
でかーい。消火器。
万琵はなにか服を探していましたが、パッと即断できるものがなかったので、今回は下見ということで。化粧品も天然素材のものがなかなか見つからず、断念していました。
焼餅のような食べ物が。おばさんは安定のタナカ。ちなみにタナッカみたいに発音します。
ガイドブックには生鮮食品は扱わないと書いていましたがマーケットの外で野菜売っていました。
時間も迫ってきたので宿で荷物を受け取り、ピックアップのバスが来る駅北に向かいます。5階にある宿でしたがチェックインの時は荷物運んでくれたのに、チェックアウトの時は運んでくれませんでした。全然いいんだけどね。全然ね。
駅北に到着しました。14時半のアウンミンガラーバスセンター行きのピックアップに乗ることを再度告げ、二人分2,000チャットの料金を支払います。するとプラスチックのスツールを出してきて、「ここで待っててね。日陰にいるといいよ」
目の前にハイエースがあるので多分これに乗るんだろうけど、ちょっとまだ時間あるし、退屈なので近くのスーパーになにか食べ物ないか探しに行きますが、大したものがなかったのでスプライト買って戻りました。炭酸うまい。
周りにひと家族がやってきて座ります。多分同じのに乗るんだろうな~なんて思っていたらハイエースが行ってしまいました。あれ!?ハイエースに乗るんじゃないのか。
14時半も過ぎたころ、一台の車が前に停まりました。
荷台に物いっぱいあるし、左のハイエースに乗っていくんでしょと思っていたら、期待通りに荷台を空け(荷物をギュッと奥に押し込んだ)さあ乗れ。
コレ、送迎チガウ、出荷。
エアコン付きのハイエースがいいよ~。
ちなみにヤンゴン空港から市街地への移動時間は20分から90分とかいうワケの解らん時間設定になっています。これはつまり渋滞に巻き込まれるか否かによるんですが、ファファ、ファジー過ぎる!
そしてタクシードライバーも窓を閉めるほど、排気ガスによる大気汚染が深刻なエリアでもあります。このトラック、窓あれよ~!
急発進・急ブレーキ・急カーブの3急運転と、側でけたたましく鳴り続けるクラクションとレギュレーターと酸素ボンベが欲しくなる程の排気ガスに耐えること80分、ようやくアウンミンガラーバスセンターに到着しました。
疲れた・・・万琵においては排気ガスに酔って閉口していました。
アウンミンガラーバスセンター。だだっ広いです。バスターミナルのような広いエリアが、何セクションもあるそうです。トラックの人にマンダラ―ミンのトコで降ろして~と伝えていたので、スムーズにマンダラ―ミンの会社のあるところに行けましたが、何でもない場所で降ろされたらこりゃ堪らんです。
誰かのブログで「Wi-Fiの使えるカフェがある」と書いていたので、先ずはそれを探しに歩きましたが、全く見つかる様子がない!ていうか旅行者の為になるようなものは何にもない!もっと長時間かけて探せばあるのかもしれませんが、少なくとも我々には視界に入る範囲にはないように思えました。ちなみにマンダラ―ミンのオフィスは暗くて水浸しになっており、とても時間をつぶせるような場所ではありませんでした。
アウンミンガラーバスセンターに行くことがあったら覚悟してください、広いくせになんにもありませんから。
とはいえ、夜行バスの出発時刻まで4時間くらいあるので、なんとか時間を潰さないと。
先ずは基本の腹ごしらえでしょ。
フライドライスと、ミャンマー東部のシャン地方の伝統料理シャンヌードルと、サンキストオレンジジュースをいただきました。3,800チャット(300円くらい)バスターミナルの食堂って、結局美味しくないと思うでしょ?ここは美味しかったです。ただし、店名は分かりません。ビルマ語読めません。外装も内装も全体的に緑の建物です。
この緑のがそうです。
ここでお尻が痛くなるほど時間をかけてゆっくりし、薄暗くなってきた頃にマンダラ―ミン近くまで戻りました。マンダラ―ミンのオフィスでは座って待てるようなところが見つからず(というか暗くて雰囲気が怪しかった)周辺で座れるところを探しました。
横っちょにカウンターだけがあってプラスチックの背もたれ付き椅子が並んでいる場所を見つけたので、そこに落ち着きます。おそらく他会社のエリアでしょうけどお構いなし。誰も何も言ってこないしね。
前には大きめの液晶テレビが設置されていました。ミャンマーの映画なのかな?が流れていました。ビルマ語は一切分かりませんが、取り敢えず滅茶苦茶暇なので観てみることに。
ここをクリックしてあらすじ飛ばしてもいいよ。
母子家庭の少年が主人公でした。
父親はなくとも美しい母親と貧しくも楽しく暮らしていました。近所の人たちもいい人ばかりで色々と助けてくれます。
ある日、乗用車が母親に接触事故を起こしてしまい、母親が怪我をしてしまいます。乗用車のオーナーは地元の名士でした。そしてとても紳士的で、貧しい少年の家に毎日やってきてお詫びの品を持って来ます。少年にとって母を傷つけた憎い相手であるその男が毎日来るのが嫌で仕方ありません。男が来ると攻撃したり、家を出たりします。
しかし、とても真摯に対応してくれる男に母親は段々と惹かれていきます。そして男も同様に。
ずいぶん昔に妻を亡くして二人の娘と一緒に暮らしていたこの男は、母親にプロポーズします。貧しい暮らしからも抜け出すことが出来るようになるので母は息子のためもあり、申し出を受け、結婚して一緒に暮らし始めます。
しかし、二人の娘はそれが面白くありません。新たな家族になった継母とその連れ子を陰でいびり続けます。
数年経ち、少年は青年に成長します。
しかし娘たちのイビリは父親のいないところで続いており、継母の作った料理を滅茶苦茶にしたり、不味いと言って捨ててしまったり、チンピラを息子にけしかけたりします。ちなみに息子は喧嘩最強です。チンピラ二人は瞬殺です。
拾ってもらった恩があるので義父に迷惑を掛けることは出来ないと、いびられていることを母子共に隠し続けますが、ある日家に入った泥棒に対し、未遂だったということで逃がしてやった息子が、娘の謀略により、逆に泥棒の罪を着せられてしまいます。
義父も俄かには信じられないようでしたが、娘の謀略であることに気づいていた息子はそれを打ち明けることが出来ませんでした。
家を出され、再び母子だけになった二人に信じられないことが発覚します。母親が妊娠していたのです。しかしあの家に戻るわけにもいかない母は、貧しい我が家で子供を産むことにします。病院にもいけずに自宅で出産したことで、体力の弱っていた母親は男の子を出産すると同時に亡くなってしまいます。
幼い弟を育てながら仕事に励む青年。母のことを思い出しては悲しさと悔しさと寂しさで泣いてしまいます。しかし弟にはそんな兄の姿を見せません。いつも元気で明るく振舞います。母によく似た弟を本当に大切に思っていました。
年月が過ぎ、弟が小学校に上がりました。その頃には兄の仕事も手伝えるようになり、聡明で素直に育ち、とても仲のいい兄弟でした。しかし弟は学校で、ある女の子に苛められていました。
しかし親切な弟は、いじめっ子が落とした荷物を拾ってその子に届けてあげようとします。そこで偶然その子の母親が、貧しい恰好の少年が我が娘の物を持って歩いているのを見て、泥棒と勘違いします。奪うように荷物を取り返し、自分の父親にそう告げます。
様子を見に来た父親は、貧しい少年を一目見て愕然とします。かつて愛した人の面影がそこにあったからです。この父親は、自動車事故の被害者を愛した挙句に追放してしまったことをずっと悔やんでいました。追放した後に自らの娘の謀略によることだということ、あの母子が無実であったことを知り、より苦しむようになっていたのです。
そして父親はこの少年が自分と、愛する女性の子であることを確信します。
父親は青年の元へ行き、かつてのことを詫び、再び家に戻るよう説得しようとします。
もう関わり合いになりたくない青年は拒否します。しかし父親は、今度は弟を引き取りたいと申し出ます。弟の頭がいいことを知っている青年は、貧しい我が家よりも、私立の名門校に入学して高等教育を受けさせる方が弟のためになると考え、承諾します。何より両親の顔を知らない弟にとっては父親と一緒に暮らす方が幸せになると考えたのです。
しかし青年は寂しくて仕方ありません。弟に対しては何食わぬ顔で生活していますが、母のこと、弟のことを思うとつい涙があふれてしまいます。
とうとう引き取りの日がやってきました。父親が来る前に、弟に別れを告げます。今まで弟の前で涙を見せなかった兄は、この時ばかりは涙を堪えられません。弟を強く抱きしめ、幸せになれよと(多分)言います。
弟は、ここで初めて本心を言います。本当はお兄ちゃんと一緒にいたい。
しばらくして青年は、弟のいる屋敷の陰から中を覗きます。そこには中庭で楽しそうにしている弟と義父とその孫の姿を見かけます。綺麗な服を着て楽しそうに過ごしている弟を見て、青年は涙を目に浮かべながら、しかし笑顔で、その場を立ち去っていくのでした。
まだバス来ない~!ちなみに青年になってからの息子は若いころの妻夫木かっていうくらい泣き虫です。そして外も雨が降っていました。
バスが来ました。マンダラ―ミンのビップバス。なかなか良さそうでないの。
バスの前ではシャボン玉を飛ばしながら商売するおっさんの姿も。
バスの中。壊れていないシート。背もたれには枕も付いています。毛布も各座席に置いてありました。顔の前には液晶画面もあり、日本語表記も出来ます。ラインナップはイマイチですが映画や音楽(多分PV)、ゲームができました。ヘッドホンも付いていました。僕は液晶を明りに小説を読んでましたけど。
そして、車内にはフライトアテンダントのような制服を着た女性のスタッフが二名常駐しており、色々なものを持ってきてくれました。
車内で配布される品々。水、コーラ(温い)ケーキとクッキー、歯ブラシ、紙おしぼり、間をあけてミルクティーが出ました。ビップ!ただし道路状況は良くないので、揺れまくります。
本を読み始めると結構入り込んでしまう僕は、車内が消灯されても読んでしまいました。元体操選手の僕は、酔いません(笑)
ふとバスが速度を緩めます。外を見ると、パチンコ屋?
と思いきやサービスエリアでした。ここで休憩のようです。
食堂で肉まん的なのと怪しい汁なし麺を食べます。2,700チャット。
歯ブラシはあるけど歯を磨くところがない!仕方ないので外で磨いてしまいます。
そして夜も更け・・・
朝!雨も上がって朝靄が出ています。ペールギュントの『朝』を思い出します。
そしてバスが停まり、インレー湖に到着!
まだインレー湖じゃなかった!
シュエニャウンという、幹線道路の途中でした。ここでバスを降り、再びトラックに揺られてインレー湖畔の町、ニャウンシュエに。
シュエニャウンからニャウンシュエ。ややこしいゎ!ちなみにこのピックアップはマンダラ―ミンのチケットに含まれていると聞いていたのですが、1,000チャットかかりました。
インレー湖エリアに入場するにはお金が掛かります。一週間有効チケットでひとり10ドル。我々はミャンマーチャットで支払いました。各12,500Kなので、ドルに換算すると9ドルくらい。為替相場に依りますが、大抵現地通貨で払った方が安いですね。
そして、インレー湖での宿、ティークウッドホテルに到着!
グラウンドフロアですが、日当たり良好、石造りで趣もあります。
湖の近くだからか、湿度は高めです。エアコンあれば尚良しですね。
友達との合流は明日。今はまだ朝なので、これからどこかに出かけようかね!
いつもご愛読ありがとうございます!今回は映画のあらすじ分長文になってしまいました。最後まで読んでくださった方、画像クリックをお忘れなく!
この時滞在していた宿はコチラ⇒ティークウッドホテル
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バスの中で読んでたのはこれです。中国の電車の中でも読んでましたけどね。
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