この記事は、2017年7月31日の出来事です。
ブルキナファソからの移動で深夜になってしまい、とりあえず選んだ宿、ホテルサクセス。
個室用のシャワーとトイレが付いているものの、シャワーヘッドは無く頭上に無愛想に水道管がむき出しになっていて打たせ湯状態になり(お湯は出ないけど)、扉もシャワーカーテンもないので水を浴びるとしぶきが遠慮なく部屋を水浸しにする、そんな構造の部屋でした。
万琵がシャワーを浴びている間、横にあった針金で出来たフックを、タオルを掛けるのに使っていました。その先端部分のビニールコーティングが剥げて鋭い針のようになっていたので、なんか危なっかしいなぁと針の刺さり具合をチェックするために触ってみると、やけに痛い。いや、めっちゃ痛い。もうちょこっと触っただけなのにもの凄く痛い。3回ほど触ってみて、えーなんでこんなに痛いんだろうとそのフックの先端から根元を目で探ると、その針金はコンセントに繋がっていました。ここは220ボルト!
そんな宿です。
電気の供給が不安定だったのがかえって惨事にならずに済んだのかも(笑)
立地はトレッシュビル地区という、埋め立て地なのか中州なのかよくわからないけれど、本土からは大きな川を隔てて橋で繋がっている島の、その入り口付近にある宿でした。
コートジボワールの首都アビジャンは、これまで訪れた西アフリカ諸国に比べると遥かに都会で、高いビルが並び、みんなスマホを片手に颯爽と歩いているのですが、それは本土での話。
トレッシュビルの、更に我々がいた入口付近(地図でいうところの赤枠内の上端)はよく言えば下町、悪く言えば川向こう、貧民街といった状況で、我々の宿の前の道はコートジボワールでは珍しく、舗装すらされていませんでした。
トレッシュビルの入り口、本土に向かう橋の上から撮影。
同じ場所から逆に本土側を撮影。
そんな場所にアジア人がいるのが珍しいのか、一歩外を出ると我々は注目の的で、大人も子供も老人も、みな一様にジロジロと目だけをこちらに向けて様子をうかがっています。見てないふりしてめちゃくちゃ見てる。ていうか昼間っから大人も子供も老人も、外に多すぎるんだけど!
そして我々は歩いて橋を渡り、本土にある在アビジャン日本大使館に向かうのでした。
なぜ日本大使館に行ったのかというと、コートジボワールの次の国にはガーナを検討していて、ガーナビザ取得のために日本大使館からの推薦状的なものをもらいに行ったのです。その推薦状があってもビザの取得が上手くいくとは限らないのですが、無いよりは確率があがるということで、少しでも可能性を広げるために、という手段でした。
とあるビルのワンフロアを日本大使館の敷地としており、セキュリティチェックを経て中に入るとそこは治外法権の効いた準日本。日本語の書物が並び、我々を安心させてくれました。
推薦状の申し込みに一日、受け取りを翌日として2日連続で日本大使館に訪れたわけですが、大使館から歩いて10分ほどのところになんとバーガーキングがありました!
バンフォラのマックとは違って今度は本物。テンション上がる~!
もともとハンバーガー好きだというのもありましたが、久しぶりのチェーンのジャンクフード(僕はハンバーガーは定食だと思っています)食べないワケにはいかないでしょう。
ワッパーセット6,000セーファ(1,200円)。屋台の食事12回分。高い!ですが、美味しい!これ食べられただけでアビジャンに来た価値がある!と思う程、美味しかったです。ちなみに日本のよりボリュームがありました。
2日に分けて日本大使館に行ったので、ちょっと値段は張るけど、ホンダさんはたしかにちょっと渋ってたけど、多分我々があまりにもバーガーキングでテンション上がっていたのを見兼ねてだと思うけど、2日目もバーガーキングに行ってしまいました。
そしてこれからの、
これ。
帰り道、強盗に遭いました。膝の赤いのは赤チンです。
ここからは、ホンダさんと万琵と僕とでそれぞれ見聞きしたものや記憶に整合性が取れないので、被害直後にしていたそれぞれの話をまとめつつ、ムラケン視点で整理した話になります。
バーガーキングを出た時点で、昼というには遅く、夕方というにはまだ早い、そんな時間帯でした。バーガーキングからは寄り道をせずに歩いて宿まで帰る途中、どうやら店から既に後をつけられていたようで、トレッシュビルに向かう橋に差し掛かるほんの手前の土手道が現場になりました。
土手道は広く、眺めも悪くないのでジョギングコースになっているのか、時折走る人を見かけます。道を照らす街灯がちょっと早めの点灯をしだした時、後ろから走ってくるジョガーらしき男が、万琵のカバンを引ったくりました。
ショルダーバッグだったので万琵の体もろとも引っ張られ万琵はその場に転んでしまいましたが、万琵のお母さんから貰った大切な思い出の、古いカバンだったため、万琵の抵抗むなしくストラップは根元から引きちぎれ、一度は犯人の手に渡ってそのまま土手を降りて橋の欄干の下に逃げ込んでいきました。
すぐさま反応したホンダさんが犯人に追いつき、格闘しています。万琵はちょっと何言ってるかわからないけどとにかく叫んでいます。
そして僕はというと、ホンダさんに加勢しようと土手下に向かうのですが、坂を下る一歩目で転んでしまいました。あぁ、これほど興奮状態だと筋肉って全然思う通りに仕事してくれないのね。
そしてなんとか、揉みあっている犯人とホンダさんに追いつき、犯人に攻撃を仕掛けます。
・・・ここ、腐ったヘドロの匂いがきつい。そしてよく滑ります。
ホンダさんは屈んで犯人の急所を力いっぱい握っていました。彼いわく、片玉潰して犯人が断末魔の叫びをあげながら失禁していたと言っていましたが、僕にはその記憶がありませんでした。僕は犯人の首を絞めて戦意喪失を狙いました。
そのあたりで万琵は、犯人がカバンを投げてよこした(彼女いわく返してくれたと解釈している)とのことでしたが、僕は犯人がそこで両手を自由にしたかったのだと思います。
なぜなら、そこでナイフを出したから。
ズボンの右ポケットから果物ナイフくらいの刃物を出したのを見て僕はすぐに右手を押さえました。そして数秒膠着したところで犯人がはっと気付きます。ナイフ左手に持ち替えたらいいじゃん。
僕は右手で首を絞め、左手で犯人の右手を押さえていたのですんなり自由な左手にナイフの移動を許してしまいました。そこで思ったのは「そりゃそうするよな。」
犯人のナイフがフリーになったのでホンダさんに急いで離れるように告げますが、その前にホンダさんが腹を一突きされてしまいました。
ホンダさんの腹は奇跡的に、背負っていたバックパックのベルトに守られていてわずかな刺し傷を作ったのみで、深く突き刺さることはありませんでした。
犯人から離れたホンダさんは揉みあっていた結果、メガネに自分の顔の皮脂がしっかりついて視界不能に陥っており、やすきよのメガネメガネ状態になっていました(笑)
この状況、カバンは万琵の手にあって犯人は何も手にしていない、あとは犯人が諦めて逃げ去ってくれるのを待つのみ、だったのですが、あろうことか僕が仰向けに転んでしまいました。
ヘドロってね、滑るんですよ。
転んだ拍子に、首から提げていてお腹に隠していたパスポート入れがペロンと出てしまい、犯人にもう一度火をつけてしまいました。
僕は転んで仰向け状態、犯人は目の前でナイフを出している。
これは諦めるしかないな。
ということで、持っていたナイフでパスポート入れのストラップを切る犯人には抵抗することなく、それをもって終わりとしようという雰囲気が何故か犯人にもあったのを感じられたのでパスポート入れを差し出しました。
ナイフをこちらに向けつつストラップを切るためにギコギコするのを見てましたが、ナイフの切れ味悪すぎて・・・もっとスパッと切ってくれないと、もうなんかお互いにバツの悪い苦笑いを交換していました。
僕のパスポート入れをゲットした犯人はそのまま(片玉かもしれないけど)橋げたの下へ滑り込むように逃走していきました。これは逃げのルートまで計算したうえでの犯行だな。
今回の結果について色々原因は考えられるし、もっといい対処法が他にあったような気もするけど、ダメMVPは全会一致で僕でしょう。自分でも一票入れます。
そのあとすぐに犯人を追ってみたものの、全く見つかる様子もなく、万琵が叫んでいたのを聞いたであろう子供が警察を呼んできてくれました。
やってきた警官は拳銃を握りしめて土手下の、さらに下から駆け上がってきて僕の目の前で拳銃を握ったまま、ヘドロに滑って転びました。もっかい言うけど拳銃を握ったまま!
↑ここ一番死ぬかと思った(笑)
警察署のこと、コートジの警察システム、病院のことなど、事件直後の話に続きます。
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この時滞在していた宿はコチラ⇒ホテルサクセス